ラピアクタ
英語:RAPIACTA、Peramivir
塩野義製薬が製造販売を行う、抗インフルエンザ薬の商品名。イギリスのバイオクリスト社が「ペラミビル(Peramivir)」の名称で開発した薬剤を、塩野義製薬がライセンス取得し、2010年1月に厚生労働省の承認を得た。
ラピアクタは、内服薬であるタミフルや、吸入薬であるリレンザ、イナビルなどと異なり、点滴によって投与される。約15分の点滴で、成人の場合、タミフル5日分と同等の効果が得られるとされる。点滴が行われるのは基本的に1回のみであり、治療が1回で完了することが利点とされている。また、経口投与が困難な高齢者や重症患者、吸入薬がうまく使えない小さい子供などにも有効とされる。
ラピアクタは、タミフルやリレンザなどと同じ、「ノイラミニダーゼ阻害薬」の一種である。インフルエンザウィルスを感染した細胞に閉じ込めて放出を阻止することで、新たな細胞への感染を防ぐという作用機序であり、症状が発現してから48時間以内に投与することが必要である。
ペラミビル
(ラピアクタ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/04 14:27 UTC 版)
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IUPAC命名法による物質名 | |
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(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-acetamido-2-ethyl-butyl]-4- (diaminomethylideneamino)-2-hydroxy-cyclopentane- 1-carboxylic acid
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識別 | |
CAS番号 |
229614-55-5 |
ATCコード | none |
PubChem | CID: 151164 |
化学的データ | |
化学式 | C15H28N4O4 |
分子量 | 328.407 g/mol |
ペラミビル (Peramivir) はアメリカのバイオクリスト社 (BioCryst Pharmaceuticals) 開発のインフルエンザ用抗ウイルス薬である[1][2]。日本での商品名は「ラピアクタ」。
概要
ノイラミニダーゼ阻害薬であり、タミフルやリレンザと同じ作用機序であるが[1][2]、酵素の阻害個所が3か所と多いため、より強力なインフルエンザウイルスの増殖抑制効果がある。点滴剤であるため、経口投与が困難な患者にも使用可能である[2][3]。
2009年10月に塩野義製薬が厚生労働省に承認申請し[3]、2010年1月13日、世界に先駆けて日本で初めて成人用が承認された。承認には通常1年から2年かかるが、新型インフルエンザの流行が考慮されたため、異例のスピード承認となった[4]。初の国産抗インフルエンザ薬とされるが[4][5]、実際に開発したのはアメリカのベンチャー企業であり、塩野義製薬は提携してライセンスを取得した形となっている。日本国内での臨床試験も塩野義製薬が行った[1]。1回の投与時間が約15分の点滴薬であり、1回の投与で治療が完結するが[4][5]、症状が重篤な場合は連日反復投与することができる[6]。薬理作用は容量依存性で、生後数か月の乳児から成人まで幅広く使用することが出来る[6]。主な副作用としては下痢が挙げられる[6]。
脚注
- ^ a b c 塩野義製薬 - バイオクリスト社との抗インフルエンザウイルス剤『ペラミビル』に関するライセンス契約締結のお知らせ、2007年3月6日、2009年10月9日閲覧。
- ^ a b c 「治療薬はタミフル5日分の効果:インフル薬ペラミビル」共同通信 2009年9月14日、同年10月9日閲覧。
- ^ a b 「「第3のインフル薬」登場へ 塩野義「ラピアクタ」 厚労省1月承認有力」 『産経新聞』、2009年12月19日付朝刊。
- ^ a b c 「国産インフル薬、今月中にも販売 塩野義製薬」 『朝日新聞』 2010年1月14日付朝刊、東京本社発行最終版、30面。
- ^ a b 「点滴の治療薬が登場 患者の選択の幅広がる」 『産経新聞』 2010年2月4日付朝刊、東京本社発行12版、20面。
- ^ a b c ラピアクタ 添付文書
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