ヨーガアンガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 03:41 UTC 版)
アンガは部分・要素を意味し、ヨーガアンガ・テキストは、ヨーガをいくつかに分けて解説した章というほどの意味で、本書では8つの部分に分けられている。ヨーガの八部門は、アシュターンガ・ヨーガとも呼ばれる(八支ヨーガ、アシュタ=8)。現代の動的なアシュターンガ・ヴィニヤーサ・ヨーガ(英語版)(通称アシュターンガ・ヨーガ)とは異なる。 ヤマ:制戒 - 不殺生・真実語・不盗・不淫・無所有の五戒を守る。これを遵守しても特別なヨーガの状態になるわけではないが、心身が浄化される。 ニヤマ:内制 - 心身を浄め、満足を知り、苦行を実践し、経典を唱え、イーシュヴァラ(自在神)を祈念するという五項目の実践により、心身から日常的なもの、行為の残滓、残り香をすべて取り除く。 アーサナ:座法 - ヨーガの実践のために安定した快適な座り方を実践する。姿勢を保つ努力が必要なくなると完全と言える。 プラーナーヤーマ:調息 - 通常呼吸は外界の影響を受けて不規則になるため、呼吸を制御・調整して可能な限りゆっくり行い、最終的に息をしているのかわからない状態にする。これによりプラーナ(生命エネルギー)の流れのよどみがなくなり、明晰さを得る。 プラティヤーハーラ:制感 - 外界の支配から感覚を引き離し、対象と感覚を切り離す。通常はものを五感で捉えているが、プラティヤーハーラで五感が心に従い心と一体となることで、心の本質において直接そのものを把握するようになる。ここまでが瞑想の準備段階に当たる。 ダーラナー:凝念 - 心を凝固させ、不動にし、思いを外界の一点に集中させる。これにより他のものが心に侵入できない状態になる。ダーラナー以降の3段階は一連のもので、質的にはっきりした区別はない。 ディヤーナ:静慮 - ダーラナーで一点に集中した思いの固定を時間的に十二倍に引き延ばす。知覚や認識は対象から引き離され、思いは拡張・伸長して、ヨーガ行者の全人格的思惟が対象本来の実在性・有性に直接触れるようになる。「禅」はディヤーナの転訛語の音写。 サマーディ:三昧 - 前2段階の結果として、思いが一種の停止状態に入り、思う側と思われる側という対立する関係を離れ、心は対象そのものになる。ヨーガ行者は生との関係、時間の支配も離れ、永遠の現在を生きる者となる。この解放された状態を「アーナンダ(喜悦)」という。
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