メシアン「トゥランガリーラ交響曲」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:01 UTC 版)
「オンド・マルトノ」の記事における「メシアン「トゥランガリーラ交響曲」」の解説
この楽器が主役として出てくる代表的な曲として、まずオリヴィエ・メシアンの「トゥランガリーラ交響曲」が挙げられる。オンド・マルトノを用いる曲としては最も演奏頻度の高い曲であり、またピアノと並んでソロ楽器として扱われるため聴衆に与える楽器の印象は強い。 この曲では、完全なボタン配分での音色指定に加え、その音色が持つ特徴を楽器名などに喩えて書き添えている。第2楽章や第4楽章では特に、同じフレーズを繰り返す箇所でも微妙に音色指定を変えている。また特に第3楽章において、グリッサンド表現に弦楽器を含む、あるいはそれと交替させるオーケストレーションも効果的に用いられている。 第5楽章および第10楽章の終盤には、オンド・マルトノのパートにピアニッシモから始まってフォルテッシモに至る長い伸音でのクレッシェンドがあるが、この音の立ち上がりを柔らかくし、なおかつヴィブラートは鍵盤よりもリボンの方が効果的にかかるため、特にグリッサンドやポルタメントを伴わないにもかかわらずリボン奏法の指定がある。 前述のトレモロ奏法は、第8楽章(「愛の展開」という副題が付いており、楽章全体が全曲の展開部と位置づけられている)において、「花の主題」が再現される際にクラリネットの音色補佐として用いられているが、第1楽章の提示部および第4楽章での同再現部にはクラリネットしか出てこないため、ここでのオンド・マルトノを伴う音色的展開は効果的である。 これらオーケストラの楽器の音色と混ぜる従来の管弦楽法的な使い方のほか、低音部でのグリッサンドなど、効果音として打楽器のようにオーケストラを補助する音色としても用いられる。 メシアンの曲としては他にも、初期の組曲「美しき水の祭典」(6台のオンド・マルトノのための)(後にいくつかの楽章が「世の終わりのための四重奏曲」に転用された。詳しくはメシアンの項を参照)、「神の現存の三つの小典礼」、歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」などでもオンド・マルトノを用いている。
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