ミニ・ジョン・クーパー・ワークスWRCとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ミニ・ジョン・クーパー・ワークスWRCの意味・解説 

ミニ・ジョン クーパー ワークス WRC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/01 16:35 UTC 版)

ミニ・ジョンクーパーワークス WRC
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 1.6L 直列4気筒ターボ
最高出力 228kW (310PS)
最大トルク 420Nm (42.82kg·f)
変速機 Xtrac製 6速シーケンシャル
サスペンション
前: マクファーソンストラット
後: マクファーソンストラット
車両寸法
ホイールベース 2,595mm
全長 4,110mm
全幅 1,820mm
車両重量 1,200kg
その他
テンプレートを表示

ミニ・ジョン・クーパー ワークス WRC (Mini John Cooper Works WRC ) は、プロドライブMINI カントリーマンをベースとして世界ラリー選手権 (WRC) 参戦用に開発した競技専用車(ワールドラリーカー)である。

概要

名称は、往年の名チューナーであるジョン・クーパーに由来する。1960年代、同氏によるチューニングが行なわれたMINIは様々なモータースポーツで活躍するが、中でもラリーでは1964年、1965年、1967年にモンテカルロで優勝しており、MINIとしての本格的な参戦は約50年ぶりとなった。

ベースとなるカントリーマンはロングホイールベースを持つため、クーパーに比べて直進安定性が高い。車両はBMWが提供し、開発・運用は2008年までスバルのWRC実働部隊であったプロドライブが担当する。なお同社は1980年代末期のグループA時代に後輪駆動BMW・M3を運用し、BMW唯一のイベント総合優勝を挙げたこともある。

WRカーとS2000仕様が存在し、WRカーは大型のリアウイングとフロントに空力効果のあるエアロパーツを装着、サイドウインドウが軽量化されている[1]。開発ドライバーはダニ・ソルド

メカニズム

エンジンは、市販のBMW製1.6L直列4気筒ターボをベースに、BMWモータースポーツがWTCC用のものを踏襲して手掛けたものだが、ピーキーな特性で熟成不足は否めなかった[2]。その後の性能向上版では出力向上と共にバルブタイミングやノッキング発生を押さえながら最大のトルクを引き出すためのノックコントロールが改善されている。他のライバルとは異なり前方吸気となっている。2013年の第4戦ポルトガルより、プロドライブが開発したレースエンジンが投入された[3]

ボディの大きさは3社中最大であった。サスペンションは前後とも規定に従ってマクファーソンストラット式を採用するが、他メーカーのWRカーに比べてストロークが短い。

沿革

2011年、BMWワークスとしてスポット参戦を開始。同年3月にS2000仕様がポルトガルで、5月にWRカーがサルディニアでデビューし6位入賞。プロドライブは資金調達も兼ねて、ブラジルやイタリアなどのプライベーターにもWRカー・S2000とも供給やレンタルを行った。この頃は往年のMINIのラリー復帰とあって多くのカスタマーが本車を利用した。

2012年、開幕戦のラリー・モンテカルロでダニ・ソルドのドライブにより2位に入賞するも、同年2月にプロドライブとBMWの関係が決裂[注 1][4]。BMWは2月6日付けで資金的に問題の無かったモータースポーツ・イタリアとポルトガルのアルミンド・アラウジョWRTのジョイントチームを「WRCチームMINIポルトガル」とし、ワークス指定を切り替えることを発表した[注 2]。同年末には同チームへのワークス支援も打ち切り撤退することを発表したが、BMWモータースポーツは今後もプロドライブと1.6Lターボエンジンを開発していく事も同時に表明している[5]

2013年はポーランドの石油コングロマリット「ロトス」の支援を受けたモータースポーツ・イタリアが「ロトス」を名乗ってマニュファクチャラー登録で参戦していたが、第7戦のサルディニアよりフォード・フィエスタ RS WRCへ変更している[6]

以降は個体数が豊富なこともあり、ローカルラリーでプライベーターが用いるマシンとなっている。2013年のWRC第10戦ラリー・オーストラリアは、地元出身のネイサン・クインが、最新エンジンの01Cを搭載したマシンでWRCクラスにワイルドカード参戦した[7]

脚注

注釈

  1. ^ プロドライブがBMWを引き込むかたちで参戦することとなったが、BMWの活動資金が思いのほか少なく、WRC参戦を果たせばBMWが本格的なワークス活動に本腰を入れるだろうという目論みが崩れてしまった結果といわれる。BMWが多額の出資を渋ったのは当時の世界的な不況に加え、ノースワンの不祥事によるWRC統一プロモーターの頓挫で選手権への心象が悪くなったことも関係があると見られている。
  2. ^ ポルトガルは当時MINIが最もよく売れる国の一つであった。またラリー人気の高さに反比例して、長らくWRC開催がなかった国でもあった

出典

関連項目

外部リンク


「ミニ・ジョン クーパー ワークス WRC」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ミニ・ジョン・クーパー・ワークスWRC」の関連用語

ミニ・ジョン・クーパー・ワークスWRCのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ミニ・ジョン・クーパー・ワークスWRCのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのミニ・ジョン クーパー ワークス WRC (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS