マクミラン版
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「大地の歌 (バレエ)」の記事における「マクミラン版」の解説
1959年、ケネス・マクミランは、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスの首脳陣に、マーラーの『大地の歌』をロイヤル・バレエ団の新作に用いることを打診した。しかし、このような大作の音楽作品はバレエ音楽向きではないとして拒否されてしまった。これに対して、マクミランは1965年に友人でシュトゥットガルト・バレエ団の芸術監督であったジョン・クランコに構想を打ち明け、クランコはこれをすぐさま受け入れた。マクミランはその脚本を「男と女がいる。死が男を連れ去るが、死は男とともに女のもとに戻る。そして最後には死は再生を約束することに気付く」という言葉で要約している。マルシア・ハイデが「女」(Die Frau)、レイ・バーラが「男」(Der Mann)、エゴン・マドセンが「永遠の者」(Der Ewig、英語では The Eternal One)を演じ、1965年11月7日にシュトゥットガルトのヴュルテンベルク州立劇場で初演された。歌唱はメゾソプラノのマルガレーテ・ベンスとテノールのジェームス・ハーパーが担当した。マクミランの振付では、「女」は「男」の動きから隔絶された孤独の姿であり、「男」は幸福にも自身の死に気づいていない。「永遠の者」は悪の姿ではなく、舞台上のすべての者にとって常に共にある穏やかな存在として描かれている。 これはただちに成功を収め、ドイツの観衆や批評家から広く賞賛を集めた。これを見たロイヤル・バレエ団は、シュトゥットガルトでの初演からわずか6か月後にこの作品をレパートリーに取り入れた。 1966年5月にロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスで英題 Song of The Earth として上演され、客演のマルシア・ハイデが「女」、ドナルド・マクリアリーが「男」、アンソニー・ダウエルが「永遠の者」を演じた。コヴェント・ガーデンでの公演にあたり、ニコラス・ジョージアディスはオリジナルの衣装を採用した。その振付は「息を呑むような美しさと力の作品の中で、現代主義的な曲線にシームレスに変化する、地球に縛られた非古典的な動き」と表現された。 2007年にはダーシー・バッセルの引退記念公演としてBBC Twoで生放送され、ゲイリー・エイビスが「男」、カルロス・アコスタが「永遠の者」を演じた。2017年にはマクミラン没後25周年を記念して、英国内の5つのバレエ団がロイヤル・オペラ・ハウスで Kenneth MacMillan: a National Celebration と題した合同公演を行った。この公演でイングリッシュ・ナショナル・バレエ団が『大地の歌』を上演し、高橋絵里奈が「女」、アイザック・エルナンデスが「男」、ゲスト・プリンシパルのジェフリー・シリオが「永遠の者」を演じた。2020年には、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団が新型コロナウイルス感染症の世界的流行による舞台芸術への影響に対抗して、『大地の歌』の動画をオンライン公開した。これは2017年に内部での記録用にマンチェスターのパレス・シアターで撮られたもので、タマラ・ロホが「女」、ジョセフ・ケーリーが「男」、ジェフリー・クリオが「永遠の者」を演じたものであった。
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