ポケットストーブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/14 05:47 UTC 版)
製造メーカーは標準パッケージとして、折りたたんだ状態で20個のエスビットを収めることができる、電解亜鉛メッキ鋼板製のポケットストーブを提供している。標準的なエスビットのパッケージには2種類のサイズが存在し、ポケットストーブもそれぞれの燃料タブレットがぴったり収まるサイズで設計されている。 日本その他では燃料タブレットパッケージとポケットストーブのサイズに応じて3種類のものがラインナップされている。 使用にあたっては開いて中にエスビットを置き、開くと五徳の役目を果たす部分に飯盒やコッヘル、あるいは大きめのカップを載せてエスビットを着火して用いる。五徳部分は角度を可変させて斜めにすることもでき、乗せる飯盒その他の大きさに合わせて調節する事ができる。また、開いた状態では風防になる。しかし、効率よく使用するには設置方向を工夫するか、ストーブの周囲を石や金属板で囲って風を防ぐことが重要である。 このポケットストーブは英語では"Hexamine stove"(英語)("hexi-stove" とも)と呼ばれ、折り畳めば非常に軽くてかさばらないため、登山者やキャンパーにも広く使われている。少量の物を加熱するための「最後の手段」の用途としてバックアップ用に携行する人もいる。上述の折り畳める四角形のタイプの他、タブレットを乗せる皿状の部分に折畳式の脚(五徳兼用)がついているものや、皿状の部分を中心として組み合わせると三角形になる風防/五徳兼用の金属板で囲むタイプなどもある。 第2次世界大戦中にはナチスドイツ軍に広く使われ、戦後も軍用としてドイツ連邦軍とオーストリア連邦軍では主食のレーションを温めるために使用されており、"Esbit-Kocher"(エスビット・コッハー、エスビット調理器の意)の公式名がある。フランス軍では使い捨ての簡易ストーブとして曲げるだけでエスビットを乗せられるように加工された金属の板がレーションのパッケージに含まれている。 第2次世界大戦時にドイツで用いられていたエスビットのパッケージ。ロゴの下には「兵士のための調理器」と銘打たれている。 閉じて携行状態とした"Esbit-Kocher"。使用方法が表面にエンボス加工されている。 開いて使用状態とした"Esbit-Kocher"。 なお、この折畳式ポケットストーブ、特にEsbit-Kocherのみを指して単に“エスビット”と呼称/表記されている例があり、燃料であるエスビットとストーブ本体が混同されているケースが見受けられる。しかし、“エスビット”とはあくまで固形燃料の名称であり、ストーブのみを指して“エスビット”と呼ぶことは誤りである。
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