ホンフリー多項式とジョーンズ多項式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:23 UTC 版)
「チャーン・サイモンズ理論」の記事における「ホンフリー多項式とジョーンズ多項式」の解説
M の中のリンク L とし、l を交叉していないループの集まりとする。特に注目している観測量は、交叉していないループを回るウィルソンループの積から作られる 1-点相関函数である。これは G の基本表現(英語版)の軌跡である。正規化された相関函数をこの観測量を分配函数 Z(M) で割って作る。分配函数はまさに 0-点相関函数である。 M が 3-球面の特別の場合には、ウィッテンはこれらの正規化された相関函数は結び目多項式に比例することを示した.例えば、レベル k の G = U(N) チャーン・サイモンズ理論の場合は、正規化された相関函数は、相(phase)の差異を除外すると、次式にホンフリー多項式をかけた式となる. sin ( π / ( k + N ) ) sin ( π N / ( k + N ) ) {\displaystyle {\frac {\sin(\pi /(k+N))}{\sin(\pi N/(k+N))}}} 特に N = 2 のときには、ホンフリー多項式はジョーンズ多項式に還元される。SO(N) の場合には、同様な方法でカウフマン多項式として記述される。 ウィッテンが示したように、相(phase)の曖昧さは、量子相関函数が古典的なデータによっては完全に決定できないという事実の反映である。ループの自分自身との交点数は分配函数の計算の中に入っているが、自己交点数は微小変形の下で不変ではなく、位相不変量ではない。しかし、各々のループに対しフレーミングを選択すると自己リンク数はうまく定義できるよう修正することができる。フレーミングを選択するとは、自己交点数を計算するためのループ変形の各点で適切な非ゼロの法ベクトルを選択することである。この過程は、1934年に量子場理論において発散するかのように見える量を定義するために、ポール・ディラックとルドルフ・パイエルス(Rudolf Peierls)によって導入された一点分解正規化の一例となっている。 マイケル・アティヤ卿は、フレーミングを選択する標準的な方法があることを示し、今日では文献の中で一般的に使われ、自己交点数をうまく定義することが可能となっている。標準的なフレーミングを選択すると上記の相(phase)は、2πi/(k + N) のベキに L の自己交点数をかけたものとなっている。 問題(ジョーンズ多項式の一般の3次元多様体内の絡み目への拡張) 「もともとのジョーンズ多項式は3次元球面(3次元空間R3, 3次元球体B3)の中の絡み目に対して定義されたが、他の3次元多様体の中の絡み目の場合にジョーンズ多項式の定義を拡張せよ。」 この問題の背景や歴史については、この論文の§1.2 を参照のこと。この問題は`有向閉曲面と閉区間の積多様体’の場合には、カウフマンによってヴァーチャル絡み目というものを導入することによって肯定的に解かれた。他の場合については未解決で有る。WittenによるJones多項式を表す有名な経路積分は全てのコンパクト3次元多様体の場合に形式的には書けているが3次元球面(3次元空間R3, 3次元球体B3)の場合以外は、物理的な意味での計算すら、されていない。すなわち物理的な意味でもこの問題は未解決で有る。ちなみにアレクサンダー多項式の場合にはこの問題は解決されている(有名な事実)。
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