ベトナムの美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/04 21:00 UTC 版)
ベトナムの芸術は、東南アジア地域の文化のうち最古のものの一つである。豊かな芸術的遺産は先史時代に始まり、絹絵、彫刻、陶磁器、木版刷、建築、音楽、舞踊、演劇などがある。 伝統的なベトナムの美術はベトナムで、またはベトナム人芸術家によりなされた美術であり、(精巧なドンソン銅鼓などの)古代のものから北属期後の美術までである。北属期後のものは、道教や儒教などの中国思想よりもその仏教美術に強く影響を受けた。チャンパの美術やフランスの美術も後に役を果たした。 ベトナム美術への中国の影響は、陶磁器、書道、伝統建築に及んでいる。現在、ヴェトナムの漆画はとても人気になっている。 ベトナムで最後の統治王朝である阮朝(1802年頃〜1945年)では、陶磁美術に新たな関心が寄せられた。アジア各地の宮廷がベトナムの陶磁器を輸入した。 19世紀の初頭には、近代美術とフランス美術の影響がベトナムに広まった。20世紀の初期には、インドシナ高等美術学校(現ヴェトナム美術大学)が設立され、ヨーロッパの技法が教えられると、主にハノイやホーチミン市などの大都市で影響を及ぼした。 フランスがベトナムを統治していた80年間はベトナム人に旅行制限が課され、国の独立戦争が長期に及んだので、ベトナム国外で活動できたベトナム人芸術家は稀だった。 裕福な家に生まれた少数の芸術家は、フランスに行く機会を得てそこで大部分の仕事を行った。 例えば、レ・ティ・ルー、レ・フォー、マイ・チュン・トゥ、レ・ヴァン・デ、ルバダン、ファム・タンなどがいる。 現代のヴェトナムの美術家は、伝統的な絹や漆などを素材にしてフランスの技法を利用している。そして東洋と西洋の要素を独自に融合させたものを作り上げている。 ベトナムの書道には古い歴史があり、嘗ては漢字がチュノムと共に用いられてきた。しかし、現代のヴェトナム書道の多くは、ローマ字を基にしたクオック・グーが代わって使われており、人気を得ている。
※この「ベトナムの美術」の解説は、「東洋美術史」の解説の一部です。
「ベトナムの美術」を含む「東洋美術史」の記事については、「東洋美術史」の概要を参照ください。
- ベトナムの美術のページへのリンク