ブームの前夜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 06:49 UTC 版)
ミニバンというカテゴリーが確立・注目されたのが1990年から2000年代頃であることから、ミニバンそのものも近年に生まれた車種であるかのように思われることもある。しかしながら「大容量(大人数)指向の乗用車」は1960年代から1970年代にワンボックススタイルの車種で登場しており、多くが現在のセミボンネット/セミキャブオーバータイプのミニバンへと発展していくワンボックス型ミニバンの登場は決して最近のことではないことが窺える。 例えば現在のノア/ヴォクシーやセレナ/NV200バネット、エルグランド、デリカD:5はその前身であるタウンエース/ライトエースやバネット、キャラバンが70年代、ホーミー、デリカに至っては60年代に乗用仕様を用意していた。ただこれらの車種は商用バンをスタートとしている関係上、純然たる乗用車とは言い切れない部分があった。 その後1980年代から1990年代に入り、純然たる「乗用車」として開発されたスペースユーティリティ指向の車種が登場し始める。2ボックス型ミニバンの源流である日産・プレーリーが1982年、翌年には三菱・シャリオが世に送り出された。1988年にマツダ・MPVがアメリカに投入され(日本発売は1990年)、1990年に北米向けに開発されたトヨタ・プレビアが日本市場にもトヨタ・エスティマとして投入された。それは技術とデザインの面も含めて日本の自動車業界として一つの契機となった。マツダもトヨタも新しい形の高級乗用車として宣伝に努めた。 ただ、この頃は(当時の他の乗用車に比べて)大型の部類であり、さらに当初は300万円前後かそれ以上の高価な車種・グレードしかなかったこともあり、乗用車全体への影響はまだ大きくなかった。メディアやユーザーはワンボックスカーとして扱っていたほか、メーカーでは初代プレーリーや初代シャリオなどのように新たな形態(いわゆる新ジャンル)のセダンとして扱うことも決して少なくなかった。
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