ブロードウェイでの失敗およびほかのプロジェクト
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「スティーヴン・ソンドハイム」の記事における「ブロードウェイでの失敗およびほかのプロジェクト」の解説
ソンドハイムが参加した3作品が連続でヒットしたが、次の1964年の『口笛は誰でも吹ける(英語版)』はアンジェラ・ランズベリーのミュージカル・デビュー作であったが9回で打ち切りとなった。1952年のローレンツの戯曲『The Time of the Cuckoo 』を基にした『ワルツが聞こえる?(英語版)』はロジャース&ハマースタイン作、メアリー・マーティン主演で計画された。ハマースタインが亡くなり新たな作詞家が必要となり、ローレンツと、ロジャースの娘メアリーはソンドハイムに後任を頼んだ。ロジャースとソンドハイムは戯曲をそのままミュージカル化にはしないことで同意し、ミュージカル版の脚本を新たに執筆し始めた。ロジャースのアルコール依存症など、このプロジェクトには多くの問題があった。ソンドハイムはこのプロジェクトに関わったことを後悔し、作詞と作曲の両方ができる場合のみ参加することを決意した。 ソンドハイムは新作ミュージカルに作家で脚本家のジェイムズ・ゴールドマンに脚本家としての参加を依頼した。『ニューヨーク・タイムズ』紙のジーグフェルド・フォリーズの元ショーガールたちの集まりについての記事にインスパイアされ、『The Girl Upstairs 』(のちに『フォリーズ(英語版)』に改題)として製作された。 1966年、オフ・ブロードウェイ・レヴュー『The Mad Show 』で『イパネマの娘』のパロディ『The Boy From... 』の作詞を半匿名で行なった。「スティーヴン・リヴァー・ネスト」のスペイン語「エステバン・リア・ニド」の名で、プログラムには「ペンネーム」と記された。同年、ゴールドマンとソンドハイムは『The Girl Upstairs 』の製作に行き詰まり、ゴールドマンはソンドハイムにテレビ・ミュージカルの作成を頼んだ。1966年11月16日からアンソニー・パーキンスとシャーミアン・カーが主演し、『Evening Primrose 』として放送された。ABC Stage 67 のアンソロジーとして、ハベル・ロビンソンがプロデュースした。ソンドハイムおよび監督のポール・ボガートによると、この作品はゴールドマンの家賃支払いの資金調達のためだけに製作された。局は題名も、ソンドハイムが提案した代替案『A Little Night Music 』も気に入らなかった。 『Evening Primrose 』の後、ソンドハイムはベルトルト・ブレヒトの作品が好きでないにも関わらず、ロビンズはブレヒトの『The Measures Taken 』のミュージカル化を頼んできた。ロビンズはブレヒトの『The Exception and the Rule 』もミュージカル化したかったため、ジョン・ゲアに脚本を頼んだ。バーンスタインはしばらく執筆活動をしておらず、ニューヨーク・フィルハーモニックでの指揮者としての契約も終わっていた。バーンスタインはソンドハイムなしでは参加しないと考えたロビンズはソンドハイムを自宅に招待し、ゲアにソンドハイムを『The Exception and the Rule 』の作詞および作曲をしてくれるよう説得してもらった。ソンドハイムが同意すると、ゲアが「なぜ『ウエスト・サイド物語』からずっと一緒に製作しなかったのか」と尋ねると、ソンドハイムは「いずれわかる」とだけ応えた。ソンドハイムは学生寮のルームメイトのように「彼らのクレイジーな働き方を理解」しなければならなかったのである。バーンスタインは深夜のみ、ロビンズは早朝のみ仕事をしていた。この作品におけるバーンスタインの音楽は伝えるべきことに欠けていた。『The Girls Upstairs 』に参加していたスチュアート・オストロウはこの作品をプロデュースすることに同意し、題名は『A Pray By Blecht 』、その後『The Race to Urga 』となった。開幕日が予定されたが、オーディション中、ロビンズが中座して戻らなかったためドアマンに尋ねると、リムジンに乗ってジョン・F・ケネディ国際空港に向かったそうである。バーンスタインは「おしまいだ」と泣き崩れ、ソンドハイムは「このプロジェクトで恥をかかされた。よい教訓になった」と語った。ソンドハイムは1曲半作曲したが、彼にとって唯一の破棄となった。18年後、バーンスタインとロビンズからこの作品のやり直しを提案されたが拒否した。 1959年の『ジプシー』執筆中からマンハッタンのタートル・ベイにあるブラウンストーンの邸宅に住んでいる。10年後、音楽を聴いているとドアをノックされた。近所に住むキャサリン・ヘプバーンが怒りで顔を赤らめながら裸足で「一晩中寝かせないつもりか」と詰め寄った。ヘプバーンはミュージカル・デビュー作『Coco 』の稽古期間中であった。ソンドハイムがヘプバーンになぜヘプバーン主演の作品を頼んでこないのか尋ねると、ヘプバーンはソンドハイムの電話番号をなくしたのだと応えた。のちにソンドハイムは「自分の演技に自信が持てずそこに裸足で立っていたいのだろう」と語った。
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