ブルックナーの交響曲の演奏史、および著名な演奏者
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古くはヴィルヘルム・フルトヴェングラーやハンス・クナッパーツブッシュなどが録音を残しており、これらは今なお広く聴かれている。とりわけ原典版出版後も改訂版を使用し続けたクナッパーツブッシュの録音は、第一級の指揮者・オーケストラによる改訂版の演奏記録としても貴重なものである。 ロベルト・ハースによる旧全集の原典版が出版された後、このうちの第4番と第5番が1936年にカール・ベームによって世界初録音された。 ブルックナーの交響曲の最初の全集録音は、1953年、フォルクマール・アンドレーエ指揮、ウィーン交響楽団によるものだった。ステレオ録音による全集は国際ブルックナー協会の会長も務めたオイゲン・ヨッフムが最初である(演奏はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団及びバイエルン放送交響楽団)。ヨッフムはのちにシュターツカペレ・ドレスデンとも別の全集録音を行っている。ヘルベルト・フォン・カラヤンやゲオルク・ショルティ、ベルナルト・ハイティンクなどの指揮者も全集を完成させている。ただし、ヨッフムを始めとして第00番、第0番を録音していない指揮者も多く、11曲全てを録音した指揮者は少ない。セルジュ・チェリビダッケやヘルベルト・ケーゲルなどのように第3番以降の交響曲しか録音しなかった指揮者もいる。 近年の指揮者の中では、ゲオルク・ティントナー(フランツ・シャルクを通じてブルックナーの孫弟子だった)、カール・ベーム、フランツ・コンヴィチュニー、オイゲン・ヨッフム、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ギュンター・ヴァント、セルジュ・チェリビダッケ、スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ、ベルナルド・ハイティンク、ヘルベルト・ブロムシュテット、エリアフ・インバル、ニコラウス・アーノンクール、カルロ・マリア・ジュリーニ、ダニエル・バレンボイム、クリスティアン・ティーレマン、フランツ・ウェルザー=メスト、朝比奈隆などが多く演奏・録音を行っている。 ブルックナーはウィーンのオーケストラの響きを前提に作曲しており、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの演奏こそが最もオリジナルとも言われている[誰によって?]。ただし、ゲオルク・ティントナーが登場するまではウィーン出身指揮者によるブルックナー録音は稀少で(ヨーゼフ・クリップス、エーリヒ・ラインスドルフがわずかなライブ録音を残している)、むしろそれまではオイゲン・ヨッフム、クルト・アイヒホルン、ヴォルフガング・サヴァリッシュらミュンヘン出身者が目立っていた。また、ウィーン・フィルは2018年に至るまで単独指揮者によるブルックナー交響曲全集を録音していない(1970年代にデッカ社が指揮者6人がかりのものをまとめた)。 全集録音を行った指揮者の中には、版・稿の問題にこだわった指揮者もいる。たとえばエリアフ・インバルは、ノヴァーク版の第1稿にもとづく第3、第4、第8交響曲を世界初録音している。ゲオルク・ティントナーは、第1番の未出版の1866年稿をいちはやく紹介したほか、第2番・第3番・第8番の第1稿を録音した。ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(旧ソビエト連邦)はかつて、すべての稿の網羅を目指した全集を録音しており、これは同じ番号の交響曲の複数の稿を、一人の指揮者・一つのオーケストラで聴き比べることの出来る初の試みだった。この中で、グスタフ・マーラーが編曲した交響曲第4番も録音され、特に注目を集めた。しかしソビエト連邦崩壊などの事情により、当時出版されていた稿のうち第8番の第1稿が録音されないまま、この試みは中断した。 日本においてはクラウス・プリングスハイムの指揮により東京音楽学校にて1936年2月15日に交響曲第9番の日本初演が行われたが、当時はまだ広く演奏され親しまれていたわけではない。金子建志によると、1959年にカラヤン=ウィーン・フィルの来日公演でブルックナーの交響曲第8番が演奏された際、「『ブルックナーだけでは客の入りが心配』という日本側の要望でモーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークも演奏することになった」という逸話もあったという。その後、日本人指揮者では朝比奈隆が1970年代にブルックナー交響曲全集を録音した他、その後もブルックナーを数多く指揮した。 ブルックナーの交響曲をオルガン独奏に編曲する試みもいくつかなされている。エルンスト=エーリヒ・シュテンダー(ドイツ語版)(交響曲第3番・第7番)、トーマス・シュメーグナー(ドイツ語版)(第4番)、クラウス・ウーヴェ・ルートヴィヒ(ドイツ語版)(第7番)、リオネル・ロッグ(英語版)(第8番)などの録音がある。
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