フェノール化合物の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 08:43 UTC 版)
「ワインのフェノール」の記事における「フェノール化合物の起源」の解説
天然フェノールは、果実中に均一に存在しているのではなく、フェノール酸はパルプ質に、アントシアニンやスチルベノイドは果皮に、カテキン、プロアントシアニジン、フラボノール等のその他のフェノールは果皮と種子に、それぞれ大部分が存在している。ブドウの成長過程で、日光は果実中のフェノール含有量を増加させる。ワインに含まれる様々なフェノールの割合は、ワイン醸造の方法により変化する。赤ワインには、アントシアニン、プロアントシアニジン、フラボノール等の果皮や種子のフェノールが多く、一方白ワインのフェノールはパルプ質に由来するもので、フェノール酸と少量のカテキン、スチルベンが含まれる。白ワインで見られるフェノールは、赤ワインにも含まれる。 ワイン中の単純なフェノールは、ワインの熟成中に、主にポリアントシアニジンとアントシアニンの縮合により、複雑な分子に変換され、そのため色も変化する。アントシアニンは熟成中にカテキン、アントシアニジン、その他のワイン成分と反応して新しいポリマー色素を形成し、色を変化させるとともに渋味を低下させる。フォリン-チオカルトー試薬を用いて定量したワイン中の平均の合計ポリフェノール含有量は、赤ワインで216 mg/100 ml、白ワインで32 mg/100 mlである。ロゼワインは82 mg/100 mlと、赤ワインと白ワインの中間になる。 ワイン醸造において、ワイン中のフェノールの含有量を増やすために、マセレーションと呼ばれる過程が行われる。フェノール酸は果実のパルプ質や果汁に含まれ、マセレーションを経ない白ワイン中にも含まれる。オーク熟成もワイン中にフェノール化合物を導入する過程であり、バニリンによりバニラ香が付くのが有名である。 ワイン中のフェノールの大部分は二次代謝産物に分類され、一次代謝活性はなく、ブドウ中での機能もないと考えられている。しかし、いくつかの植物では、フラボノイドがオーキシン輸送の調整を担っていることが証明されている。これらは水可溶で、配糖体として液胞中に分泌される。
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