フェノームとフェノミクス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 20:21 UTC 版)
表現型(phenotype)とは、生物が示す観察可能な特徴の集合体であるが、フェノーム(英語版)(phenome)という言葉は形質の集合体を指す場合もあり、そのような集合体を同時に研究することをフェノミクス(英語版)(phenomics)と呼ぶ。フェノミクスは、どのようなゲノム変異体が表現型に影響を与えるのかを明らかにすることができ、健康、疾病、進化的適応度などを理解するため、重要な研究分野である。フェノミクスは、ヒトゲノムプロジェクトの大部分を形成している。 フェノミクスは、農業の分野で広く応用されている。人口が飛躍的に増加し、地球温暖化の影響により天候が不安定になる中で、世界の人口を支えるのに十分な作物を栽培することはますます困難になっている。フェノミクスを利用することで、干ばつや暑さに対する耐性のような有利なゲノム変異を特定し、より耐久性の高い遺伝子組み換え作物を作ることができる。 フェノミクスはまた、個別化医療、特に薬物療法に向けての重要な足がかりでもある。このようなフェノミクスの応用は、効果がないか安全でないことが証明される薬物療法の試験を回避する最大の可能性を秘めている。フェノミクスデータベースがより多くのデータを取得した後は、患者のフェノミクス情報を用いて、患者に合わせた特定の薬剤を選択できる。フェノミクスの規制が発展するにつれ、新たな知識ベースが、個別化医療や神経精神症候群の治療の実現に役立つ可能性がある。
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