フョルスヴィーズルの言葉とは? わかりやすく解説

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フョルスヴィーズルの言葉

(フィエルスヴィドルの歌 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/02 23:49 UTC 版)

スヴィプダグルとメングロズ

フョルスヴィーズルの言葉[1]古ノルド語Fjǫlsvinnsmál フョルスヴィンスマール)とは、古ノルド語である。邦題としては他に『フィヨルスヴィズの言葉[2]、『フィヨルスヴィズの歌[3]、『フィヨルスヴィドのバラード[4]などがある。

のちにもう一つの詩『グローアの呪文歌』と共に、『スヴィプダグルの言葉』という一本の詩にまとめられた。

この詩は最も後期になってから作られたエッダ詩の一つと見なされている。それにもかかわらず、不可解な部分が存在し、また破損したスタンザも複数存在しているという。

目次

内容

この物語の前段にあたる『グローアの呪文歌』の中で、スヴィプダグル (enは自身に冷たくあたる義母から受けた命令をやり遂げるために、不思議な力を持っていた亡き母グローア (enの助力を得た。

『フョルスヴィーズルの言葉』は、スヴィプダグルが山の頂上にある城に辿り着くところから始まる。門番を務めていた巨人フョルスヴィーズルは彼を追いやろうとし、名前を聞き出そうとするが、スヴィプダグルは巧みに真の名前を隠しつつ答える。

スヴィプダグルはフョルスヴィーズルとの問答の中で、求める女性メングロズが目の前の城の中におり、そしてその城には誰一人として入ることができないようになっているのを知る。彼女を救うとされている一人の男、スヴィプダグルを除いては。そこに至って彼は自身の名を明かし、扉は開かれ、メングロズは彼を歓待する。

写本

『フョルスヴィーズルの言葉』は、『グローアの呪文歌』と共に17世紀の紙写本から発見された。3つ以上の写本では、その収録順は内容とは逆となっており、また間に『ヒュンドラの歌』が挟まっていた[注 1][5]

写本のスキャン画像を公開するサイト「Sagananet.is」の分類検索によると、この詩が収められている写本として、

  • Lbs 1562 4to (1650年-1799年頃作成?)[1]
  • Lbs 214 4to (1723年-1776年頃?)[2]
  • Lbs 1588 4to (1750年-1799年頃?)[3]
  • Lbs 1689 4to (1770年-1820年頃?)[4]

などがあるという。このうち最も古い写本である Lbs 1562 4to では、各詩篇に番号が振られていたが、35番が『フョルスヴィーズルの言葉』、36番が『ヒュンドラの歌』、37番が『グローアの呪文歌』となっていた。

研究史

1854年になって、スヴェン・グルントヴィ英語版は、『グローアの呪文歌』と中世スカンディナヴィアのバラッド『若きスヴェイダル[6][7]』("Ungen Svejdal"[8])[注 2]の前半部分との間に関連性が認められることを指摘した。それを受け、1856年にソーフス・ブッゲ (enは『Forhandlinger i Videnskabs-Selskabet i Christiania, aar 1860(クリスチャニア学会論集 1860年号)』に寄稿した論文「Forbindelsen mellem de norrøne Digte Grógaldr og Fjölsvinnsmál oplyst ved Sammenligning med den dansk-svenske Folkevise om Sveidal.(デンマーク・スウェーデンの民謡『スヴェイダル』との比較によるエッダ詩『グローアの呪文歌』と『フョルスヴィーズルの言葉』の繋がりの解明)」の中で、バラッドの残りの部分が『フョルスヴィーズルの言葉』に相当することを解き明かし、この2つの詩をまとめて『スヴィプダグルの言葉』と呼んだ[9]。この題名は後世の研究者にも受け入れられている[10]

脚注

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注釈

  1. ^ すなわち、『フョルスヴィーズルの言葉』『ヒュンドラの歌』『グローアの呪文歌』の順で収められていた。
  2. ^ Ungen Sveidal』、『Herr Svedendal』または『Hertig Silfverdal』とも。

出典

  1. ^ テリー・グンネル(伊藤盡訳)「エッダ詩」、『ユリイカ』第39巻第12号、2007年10月、 pp.121-137。
  2. ^ アクセル・オルリック 『北欧神話の世界 神々の死と復活』 尾崎和彦訳、青土社2003年11月10日、初版。ISBN 4-7917-6065-4: p.74, 110, 119.
  3. ^ 菅原邦城訳 フォルケ・ストレム『古代北欧の宗教と神話』人文書院、1982年。索引に項目有り。
  4. ^ K.C.ホランド 『北欧神話物語』 山室静・米原まり子訳、青土社、1992年11月16日、新版第3刷。: p.317.
  5. ^ McKinnell, John; Meeting the Other in Old Norse Myth and Legend, D.S. Brewer, 2005, p. 202.
  6. ^ 伊藤訳 グンネル「エッダ詩」p.130の題。
  7. ^ Ballad no. 70. グルントヴィ『Danmarks gamle Folkeviser』2巻収録。
  8. ^ 伊藤訳 グンネル「エッダ詩」p.130の綴り。
  9. ^ Google Books。ブッゲの論文は pp.123-140。その経緯はブッゲ『Norrœn Fornkvæði: Sæmundar Edda』(1867年)「Svipdagsmál. Excurs」でも述べられている。
  10. ^ Sveinsson, Einar Ólafur, "Svipdag's Long Journey," Hereditas, Folklore of Ireland Society, Dublin, 1975.

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