パントの現在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 06:14 UTC 版)
パントはもともと貨物輸送や鳥撃ち・釣りを行うことを目的としてテムズ川で用いられていたが、1860年ごろにレジャー用のパントが初めて製作された。娯楽としてのパンティングはテムズ川で始まり、その後各地に広まったとされる。20世紀初頭には一層人気が高まり、1910年には初のパント業者であるスクーダモアス・パンティング・カンパニーが設立された。1950年代から1960年代にかけてはモーターボートの普及に伴って下火となったが、近年では観光業の発達とともに盛り返している。 パンティングはイングランド各地で行われており、なかでも大学町として名高いオックスフォードとケンブリッジで特に盛んである。 パントの貸し出しやパントを用いたツアーを行う業者はバース(ブリストル・エイヴォン(英語版))、ケンブリッジ(ケム川(英語版))、カンタベリー(グレート・スタウア(英語版))、ロンドン(リージェンツ運河)、オックスフォード(チャーウェル川(英語版)、アイシス川(英語版))、ソールズベリー(ソールズベリー・エイヴォン(英語版))、ストラトフォード(ウォリックシャー・エイヴォン)、サンベリー(英語版)(テムズ川)などに存在する。 パントの発祥地であるテムズ川ではテディントン(英語版)にある潮汐限界点より上流のほとんどの場所でパンティングができるが、パント業者は少なく、主にクラブによって行われている。 ケンブリッジでは、パントの導入が1902年から1904年頃と比較的遅かったものの、その後急速に普及し、現在ではケム川におけるパントの数はイングランド最大であると言われている。この背景には、特にザ・バックス(英語版)においてケム川の水深が浅く、川底が砂利基調であることに加え、ケム川がケンブリッジの中心部を貫き、ケンブリッジ大学の歴史ある建物のそばを流れていることがある。 ケンブリッジでは他の場所と異なり、パントはティル(「デック」(英語: deck、デッキ)と呼ばれる)の上に立って操縦される。このため、ケンブリッジのパントはティルが強化されているほか、両端にティルを持つものもある。この風習は1910年にはすでに定着していたことが同年の写真で確認でき、1970年代に行われた老船頭ドン・ストレンジへの聞き取り調査によれば、足首を見せようとしたガートン・カレッジの女学生によって創始されたという。 オックスフォードはテムズ川流域に位置するものの、ティル(「ボックス」(英語: box)と呼ばれる)のある端を船首とすることが1880年以前からの伝統となっている。 イングランド国外では、ニュージーランドのクライストチャーチを流れるエイヴォン川でもパントが使用されている。
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