ナポレオン戦争の時代
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ナポレオン戦争を題材にした作品として、ワーテルローの戦いを描いたスタンダール『パルムの僧院』(1839)などが著名で、ロシア遠征下を描いたレフ・トルストイ『戦争と平和』(1865-69)はロシア他の国民の戦争観にも影響を与えた。またトルストイは自ら従軍したクリミア戦争での体験を小説化した『セヴァストーポリ』(1855-56)もあり、1904年には、博愛主義に基づく非戦論である論考「汝、悔い改めよ (Bethink Thyself)」をイギリスの『タイムズ』に発表する。ナポレオンのヴェネツィア共和国侵攻に対してロマン派詩人ウィリアム・ワーズワースはソネット「ヴェネツィア共和国滅亡について」(1802)などを書き、スペイン半島戦争に対してはロバート・サウジーが『スペイン半島戦争史』(1830)を残した。フランス支配下のデュッセルドルフに生まれたハイネは、「二人の擲弾兵」(1820)でナポレオン軍敗残兵の愛国心を謳っている。トーマス・ハーディ『覇王』はナポレオン戦争におけるイギリス全体を描いた叙事詩である。この戦争を題材に版画集「戦争の惨禍」などを描いたゴヤは、リオン・フォイヒトヴァンガーの小説『ゴヤ』(1953)でゲリラ戦にも参加した人物として書かれている。コナン・ドイルはナポレオン軍のマルボ将軍をモデルにした、騎士武勇談もの『勇将ジェラールの回想』(1896)などを書いており、ナポレオン軍と英海軍の海戦を中心とするセシル・スコット・フォレスター『ホーンブロワーシリーズ』(1948-)は海洋冒険小説の代表的作品となっている。 これに先立つ近代では、ゲーテはフランス革命戦争に従軍した経験から、戦時下の市民生活を舞台とする『ヘルマンとドロテーア』(1797)を執筆。ロマン派詩人フリードリヒ・ヘルダーリンは、ギリシャの独立闘争に参加した若者の心情と内幕を描く『ヒュペーリオン』(1797-99)を書いた。スコットランドの詩人トマス・キャンベルも、フランス革命戦争を題材にした「ホーエンリンデン」(1803)などの戦争詩を残している。
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