デジタルコンピュータ世代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 08:48 UTC 版)
「武器管制システム」の記事における「デジタルコンピュータ世代」の解説
アメリカ海軍では、1960年代初頭より海軍戦術情報システム(NTDS)を配備して、艦隊防空の組織化を図っていた。NTDSをミサイル艦に導入する際、当初は、デジタル-アナログ変換回路を介してNTDSのデジタルコンピュータからWDSのアナログコンピュータへと情報を単に送信するだけの計画だったが、研究過程で、目標の探知・捕捉および脅威評価についてNTDSとWDSの機能に相当の重複があることが判明し、この冗長性を排除すれば、装備の重量・容積や取得予算、また運用人員も削減できると期待された。 このことから、デジタルコンピュータを採用するとともに、NTDSとの連接を前提にして機能の最適化を図ったものとして開発されたのがWDS Mk.11であり、そのコンピュータとしては主にCP-642Bが用いられた。WDS Mk.11は、まずテリア・システム向けとして、ベルナップ級ミサイル・フリゲート(DLG)の4番艦として1966年に就役した「ジョーエット」より装備化された。またターター・システム向けとしても、1974年就役のカリフォルニア級原子力ミサイル・フリゲート(DLGN)において装備化された。ただし同級は、本システムを含むターター-D・システムを初搭載して「原子力空母機動部隊の防空中枢艦」として期待されたものの、システムインテグレーションの問題に悩まされて、予想外に就役が遅延することになった。またこの時期、海上自衛隊でも、WDSをもとにデジタルコンピュータの採用など近代化を図ったWESを導入し、1976年就役の「たちかぜ」より装備化した。 その後、コンピュータをAN/UYK-7に更新するとともに、従来は射撃諸元を表示していたのに対して目標との交戦能力を表示するように変更した改訂型として登場したのがMk.13で、1976年就役のバージニア級原子力ミサイル・フリゲートより装備化された。またチャールズ・F・アダムズ級ミサイル駆逐艦や準同型艦にNTDS系のJPTDS戦術情報処理装置を搭載する際にも、既存のWDS Mk.4から換装する形で搭載された。バージニア級やキッド級では専用のUYK-7コンピュータが割り当てられていたのに対し、アダムズ級では、1台のUYK-7コンピュータをJPTDSと共用していた。またコンソールとしては、OJ-194(V)3/UYA-4 PPIを2基、Mk.90または91発射装置コンソールを1基、使用するのが標準的だったが、ペリー級では発射装置コンソールは省かれた。 NTU (New Threat Upgrade) 計画に基づく改修艦ではMk.14が搭載された。これは、ミサイル・システム1セットにつき、AN/UYK-20Aまたは-44コンピュータ2基とOJ-194(V)4コンソール2-3基を配置しており、巡洋艦向けのmod.4と駆逐艦向けのmod.5があった。 なおイージスシステム(AWS)では、試験艦「ノートン・サウンド」に搭載された試作機ではWDS Mk.12が用いられていたが、実用機においては、AWSの他のシステムとの統合に最適化されたWCS(Weapon Control System)が採用された。
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