ダーク・ファンタジーの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 14:16 UTC 版)
「ダーク・ファンタジー」の記事における「ダーク・ファンタジーの特徴」の解説
一般的なファンタジーおよび幻想小説とダーク・ファンタジーとの明確な線引きは難しく、作風によって出版社が判断してジャンル分けしたり、読者が独自に判断したり、作者がコメントなどで明確に打ち出したりするなど、様々である。東京創元社を例に挙げると、同社レーベル内ではタニス・リーやジョナサン・キャロルの作品群などを「ダーク・ファンタジイ」ジャンルとして扱っている。なお、同社では「ファンタジイ」ジャンルを細分化して、「ファンタジイ」のほか「ダーク・ファンタジイ」「ヒロイック・ファンタジイ」「ユーモア・ファンタジイ」「ロマンティック・ファンタジイ」「異世界ファンタジイ」などに分類をしている。他方、論創社の叢書「ダーク・ファンタジー・コレクション」では、ミステリー・SF・ホラーと幅広いジャンルを網羅したシリーズとなっている。 ハイ・ファンタジー、いわゆる異世界ファンタジーの分類としてのダーク・ファンタジーでは、ストーリー全体がシリアスなトーンで進行しているのが大きな特徴で、その中で人間の残酷な心理や内面をえぐった表現や、予定調和的なハッピーエンドを嫌った展開(バッドエンド方針)、過激な戦闘とグロテスクな描写、性描写などに特徴的な作品を指すことが多い。 異世界ファンタジーとしてのダークファンタジー作品では、トールキンの亜流作品や児童文学などで描かれる中世ヨーロッパ「風」世界のメルヘン・幻想的=非現実的なイメージに対するアンチテーゼとして、現実の醜汚を世界観に反映させており、史実に基づいた戦争とそれに伴う略奪、魔女狩りや拷問、飢饉や疫病、政治の腐敗といったガジェットがリアリズム(場合によってはある程度の誇張表現も含む)により生々しく描写されることもある。 一方、より広義のファンタジーとしての幻想文学の作品群でダーク・ファンタジーというラベリングをした場合、幻想と怪奇、ホラーの味付けの強い作品、ゴシック小説の流れを汲む作品などを指して呼ぶことが多い。現実世界に非現実の存在がクロスオーバーする現象、あるいはその体験を、恐怖として表現したもので、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトやホルヘ・ルイス・ボルヘスらの作品に特徴的である。
※この「ダーク・ファンタジーの特徴」の解説は、「ダーク・ファンタジー」の解説の一部です。
「ダーク・ファンタジーの特徴」を含む「ダーク・ファンタジー」の記事については、「ダーク・ファンタジー」の概要を参照ください。
- ダークファンタジーの特徴のページへのリンク