タイのかつての国章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 17:04 UTC 版)
タイ(シャム)はかつて西洋の紋章学に基づいた国章を定めており、1873年にラーマ5世が制定したときから1910年にラーマ5世が崩御するまでの間使われていた。今日でもタイ警察の帽章や、軍の大学チュラチョームクラオ陸軍士官学校(CRMA)の象徴として使われている。 紋章の上の方にはタイの国王の王権を象徴するレガリア「五種の神器」のひとつ、金色に輝く大きな王冠「プラマハーピチャイモンクット」(戦勝の王冠、พระมหาพิชัยมงกุฎ)があしらわれて、その頂上から光線が放たれている。王冠の下にはタイの王家であるチャクリー王朝の象徴、「スダルシャナ(ヴィシュヌの力の象徴である円盤状の武器・チャクラム)の中にあるトリシューラ(シヴァが持つ三叉戟)」が描かれている。王冠の左右には、国王のためにかざされる金色の七層の傘が描かれている。 紋章の背後で交差しているのは五種の神器のうちの短剣「プラセーンカンチャイシー」(พระแสงขรรค์ชัยศรี)と杖「ターラプラコーン」(ธารพระกร)である。その背後にはドレープ状のローブが垂れ下がり紋章全体を包み込んでいるが、これは王のローブであり、ラーマ5世が制定したチュラチョームクラーオ勲章のローブでもある。傘と盾を支えるサポーターは伝説上の動物、王の獅子(rajasiha)と象と獅子の合わさった神獣(gajasiha)である。 シールド(盾)は3つの部分に分かれる。上部には王国のうちタイ族の地(シャムの北部、南部、中部)を象徴するエラワン(เอราวัณ, 胴が一つで頭が三つの象、アイラーヴァタのタイでの呼び名)が黄色い地に描かれる。下の向かって左には、ラオ族を象徴する白い象(「百万頭の象」を意味するラーンサーン王朝を象徴する)が赤い地に描かれている。下右にはマレー族を象徴するクリス(波打った刀身の、マレー伝統の短剣)が桃色の地に交差している。 シールドの下には2本の鎖があるが、ひとつは仏教の分野に功績のあったものに贈られる九宝石勲章の、もうひとつはチュラチョームクラーオ勲章のネックレスを意味する。シールドの下の帯(スクロール)には、パーリ語によるモットーがタイ文字で書かれており、「สพฺเพสํ สงฺฆภูตานํ สามคฺคี วุฑฺฒิ สาธิกา」(Sabbesam Sanghabhutānam Sāmaggī Vuḍḍhi Sādhiga, 統一は幸福をもたらす)と読める。
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