セクターワイドアプローチ
1990年代後半に入りサブサハラのアフリカ諸国では、それまでのプロジェクトタイプの援助ではセクターレベルにおけるインパクトが限られることに加え、90年代のドナー全体の援助疲れ、90年代後半からの主要ドナーの貧困重視の流れなどを背景にセクターワイドプログラムの新しいアプローチが始まった。
このセクターワイドアプローチは、当該国政府やドナーを含む参加者間のパートナーシップの下、合意されたセクター政策、投資および支出計画を一貫性を持って実施することにより、持続的に人々の健康増進を図ることを究極の目標とした柔軟かつ包括的なプログラム援助の一形態である。また、WHOによると、セクターへのすべての供出金は、国内のものであろうとドナーからによるものであろうと、唯一のセクター政策と支出プログラムを支援するものであり、その際、被援助国政府のリーダーシップの下で、セクターを通して共通のアプローチを採用し、すべての資金に対する拠出および管理を行うものと定義づけている。保健改革がセクターにおける開発政策の内容を指すのに対し、保健SWApsはその保健改革を支援するためのアプローチでありプロセスである点が異なる。
SWApsは現在、目標達成のための計画策定とモニター、優先課題として参加型アプローチによる貧困削減ビジョンの設定と地方分権化の実践、貧困削減アジェンダにおける管理能力・ジェンダー・環境問題を含む横断的な優先事項の実践などが課題となっている。同時に、各種利害関係者のSWApsに対するオーナーシップ、政府部局によるSWApsの計画・運営能力に対するサポート、ドナー間の調整などの問題にも焦点が絞られている。これらの諸課題に対応するために、援助の新たな枠組みにおけるSWApsの役割、市民権・管理運営・パートナーシップの新たな風潮の中でのSWApsの位置付けおよびドナーの役割の明確化が意思決定の重要項目として挙げられている。(中野博行)
参考URL:WHO ホームページ http://www.who.int/trade/glossary/story081/en/
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