スマホ用ディスプレイ工場へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 16:34 UTC 版)
「シャープ亀山工場」の記事における「スマホ用ディスプレイ工場へ」の解説
2011年、シャープは第1工場に約1000億円を投資し、iPhone用ディスプレイの専用工場として生まれ変わった。投資額の多くをAppleが実質的に負担したため、第1工場は製造設備自体がアップルの所有物であり(建屋はシャープの所有物)、iPhone用のディスプレイ以外が製造できないなど、事実上のアップルの下請け状態にある。そのため、iPhoneの売れ行きが亀山第1工場の操業度に、ひいてはシャープ全体の業績を左右するほどになっている。第1工場にはアップルのオフィスがあり、シャープ社員ですら立ち入りできない区画がある。iPhoneは販売台数が多いため大きな利益が得られるが、逆にiPhoneの販売台数が少ないとシャープの経営が傾くというデメリットがあり、またアップルはiPhoneの売れ行きに合わせて週単位で細かく生産調整をするため、長期的な生産台数が読めないというデメリットがあった。 第2工場も2012年以降は大型液晶テレビの生産を減らし、スマートフォンや携帯ゲーム機用の中小型液晶ディスプレイが主力となっていた。2012年から2013年にかけてはシャープの経営危機とアップルの苦戦が重なり、第1・第2工場ともに稼働率が低下して非常に苦しい状態が続いたが、2012年には第2工場にて新開発のIGZOディスプレイの生産が開始され、競争力を失ったテレビ用大型液晶から高収益の得られる中小型液晶ディスプレイ工場への移行に成功。当初シャープはIGZOをiPadに回したため他社の需要が伸びず、安価で高品質な製品を開発したにもかかわらずアップルの需要に翻弄されて経営が極めて悪化したが、中国の中小スマホメーカーなど新規顧客の獲得に走り回った結果、2013年後半からはIGZOの人気や任天堂の3DS LL用ディスプレイの人気などで高い稼働率が続き、液晶事業が久しぶりに黒字になるなどシャープの復調を印象付けた。 2012年に堺工場が鴻海グループに入ったため、亀山工場が再び「液晶のシャープ」の主力工場となった。2014年上半期の中国スマホメーカー向けの出荷量は前年同期比4倍、9月には中小型液晶の比率が50%、第2工場の稼働率が100%に達した。2012年頃のシャープの経営危機は、アップルと言う大口顧客・単一製品への依存が招いたという反省から、第2工場ではIGZO以外にも多様な製品の生産を行っており、また2014年7月には第1工場でもアップル以外への供給が行えるようにアップル所有のラインを買収する交渉が開始されたとの報道があった。
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