ストップ・ロック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:52 UTC 版)
ストップ・ロック(stop lock、「遮断閘門」)は、2つの異なる互いに競合する運河の交点に建設されて、水が流出してしまうのを防ぐ、とても小さな落差の閘門である。 イギリスの運河網が競争的だった時代には、既に存在する運河会社は新しい隣接運河が接続することを拒否することがよくあった。このためにバーミンガムのウースター・バー (Worcester Bar) では、ほんの1フィートしか離れていないのに競合運河の船へ貨物を積み替えなければならなかった。 既存の運河会社が新しい運河との接続に利点を見出したり、新設の運河会社が設立認可の法案に接続を必須とする条項を押し込むことに成功したりして、運河が接続されることになると、既存の会社は水源を守り、あるいは場合によっては拡張しようと考え始める。通常、交点では新しい側の運河は既存の運河より高い位置になるように指定された。新旧運河の水位差がわずか数インチであっても、ストップ・ロックと呼ばれる閘門が必要とされた。なぜなら、新しい運河から既存運河へ水が流れ出し続けるのを防ぐ必要があるからである。この閘門は新設の会社の管理下に置かれ、当然ながら新設運河側が上流になっている。これにより新しい運河の水源を守るが、しかしながら必然的に船が通航するたびに既存の運河会社に閘門1杯分の水を差し出すことになる。水が過剰な時には当然ながら既存運河に対して水を連続的に流したままにする。 水位が変化するために常に新設運河の水位が高いことが保証できない場合には、既存会社も同じようにストップ・ロックを、独自の管理下で自分の運河側が上流になるような向きで建設し、新設運河の水位が下がった時には閉鎖するようになっていた。これにより、互いに異なる向きになっている閘門が連続して現れることになる。マックルスフィールド運河の南端が、先に存在していたトレント・アンド・マージー運河のホール・グリーン支線 (Hall Green Branch) に合流するキッズグラブ (Kidsgrove) 近郊のホール・グリーン (Hall Green) に例がある。ストラットフォード=アポン=エイボン運河 (Stratford-upon-Avon Canal) とウースター・アンド・バーミンガム運河 (Worcester and Birmingham Canal) の間のキングス・ノートン接続点 (Kings Norton Junction) の4つの閘門扉を持つストップ・ロックは、どちらの水位が高くても水を遮断するギロチンロックの組み合わせに1914年に置き換えられた。これらのゲートは国有化に伴って常時開けた状態にされている。 1948年の国有化後、多くのストップ・ロックは撤去されたり、単独の閘門扉に改造されたりした。ホール・グリーンのストップ・ロックは残ったが、単独の閘門となった。トレント・アンド・マージー運河の頂点にある水路の水位が、ヘアカッスルトンネルの水面上の高さを改善するために下げられて、マックルスフィールド運河より常に低いことが保証されたため、余分の閘門は撤去された。ホール・グリーン支線は現在ではマックルスフィールド運河の延長であると考えられるようになっており、トレント・アンド・マージー運河とヘアカッスルトンネルの北側出口のすぐ近くにあるハーディングス・ウッド接続点 (Hardings Wood Junction) で合流する。 新しい運河の側が高く、というルールは鉄則ではないことは注意しなければならない。例えば、1835年に建設されたバーミンガム・アンド・リバプール運河(Birmingham and Liverpool canal、現在はシュロップシャー・ユニオン運河 (Shropshire Union Canal) の一部)が、1772年に建設されたスタッフォードシャー・アンド・ウーセスターシャー運河に合流するとても浅いオーサーリー合流点 (Autherley Junction) などがある。水路に関するニコルソン・ガイドによれば、シュロップシャー・ユニオン運河側から来る船は、より古いスタッフォードシャー・アンド・ウーセスターシャー運河に入る時に閘門を上る方向に通過するので、新しい運河であるシュロップシャー・ユニオン運河の方が船を通過させるたびに閘門1杯分ずつの水を受け取ることになる。しかしながら、両方の閘門扉を同時に開けることもできるくらい水位差はとても小さいので、得られる水はとても少量である。
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