ステガノグラフィとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > コンピュータ > IT用語辞典 > ステガノグラフィの意味・解説 

ステガノグラフィ

【英】steganography

ステガノグラフィとは、データ秘密状態でやり取りするための技術一種で、あるデータを他のデータ中に埋め込んで所在秘匿する技術のことである。

ステガノグラフィでは、画像データのように冗長性持ったデータ中に隠したデータ織り込ませることで所在を隠す手法取られる一般的な情報秘匿手段である暗号化とは異なり情報存在自体を外からは判別できなくすることができる長所持っている。ステガノグラフィの技術は、画像データ著作権情報追加する電子透かし技術などに応用されている。

知的財産のほかの用語一覧
著作権保護:  SDMI  セキュアCD  シュリンクラップ契約  ステガノグラフィ  ダビング10  デジタル万引き  ドングル

ステガノグラフィー

(ステガノグラフィ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 02:36 UTC 版)

ステガノグラフィー: 隠写術: steganography)とは、情報隠蔽英語版技術の一つであり、情報を他の情報に埋め込む技術のこと、あるいはその研究を指す。暗号(cryptography)が平文の内容を読めなくする手段を提供するのに対して、ステガノグラフィーは存在自体を隠す点が異なる。

ギリシア語で「覆われた、または隠蔽された(防水|密封など)」「寡黙な(無口な)」を意味するsteganosと,ラテン語の接尾辞-graphiaに由来する[1]

概要

情報を隠蔽する技術一般を総称して情報隠蔽(技術)と呼ぶが、ステガノグラフィーは情報隠蔽の源流となった技術である。

埋め込む情報は、平文または秘密文といい、埋め込む先の情報を被覆情報という。そして秘密文を埋め込んだ被覆情報は、ステゴ体: stego-object)と呼ぶ。 被覆情報としては画像データや音声データのほか、文章データもある[2]

ステガノグラフィーの考え方を応用して、1990年代以降、主に著作権保護を目的として、画像データ等の著作物に利用者IDや著作権者などを仕込む電子透かし(digital watermark)と呼ばれる技術が開発された。

ステガノグラフィー以外の情報隠蔽技術には、デジタル指紋英語版 (digital fingerprint)、被覆通信路英語版 (covert channel)、潜在通信路英語版 (subliminal channel)、匿名通信路英語版 (anonymous channel)などがある。

歴史

起源は古く、ヘロドトスの歴史書に、木の板に書いた文をで隠した例が挙げられている。 また、使者の毛を剃った頭に刺青を施し、髪の毛が生えるのを待って、相手側に送った。相手側は毛を剃って、文章を読み取ったという史実もある。

日本においても語句を他のより長い文章中に紛れ込ませる手法は折句 (acrostic) として古くから用いられている。在原業平「からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ」古今和歌集より[3]。各句の頭文字を順につなげるとかきつはたの語が現れる。これは、よく知られた技法で、五行に記載して何気なく読めば分かってしまい、隠蔽していないためステガノグラフィーではないという分類もできる。詳細は折句を参照。

不可視インクによる見えない文字や、微小ドット英語版[4]を使った方式などが考案されてきた。

例えば、画像中の黄色信号等級(8-16ビット)の各画素の濃度を表すデータを、1の信号があるときは1ビット加算し、0の時は加算しないとする方式について考える。全体中の約半分の画像強度(濃度)が1色だけ1ビットだけずれた場合、濃度差がほとんど無く、検出は困難である。また、画像にはノイズがつきものであり[5]、埋め込まれた信号とノイズを区別するのは難しい[6]。1枚の画像は1色だけで数十KB以上あり場合によっては1MBを超す[要出典]ので、文字ならきわめて容易に、画像でも容易に埋め込むことができる。

日本国内での最近の研究活動

情報隠蔽に関する研究は、大まかには電子透かしとステガノグラフィーに関するものに大別できる。しかしながら、最近までこれらの研究活動をとりまとめる団体や組織がなく、それぞれの研究者は様々な場で非共同的に研究成果を競ってきた。 このような状況の中で、ようやく2006年末になり「マルチメディア情報ハイディング研究会」が発足した。さらにこの研究会は、2011年4月から マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会へと発展し、ステガノグラフィを包含する"付加価値を有するマルチメディア" 分野での国内研究活動の中心となりつつある。

目的

脚注

  1. ^ [1]
  2. ^ [2]
  3. ^ 冗長性から見た情報技術, 青木直史, BlueBacks, 講談社, 2011, ISBN 9784062577199
  4. ^ 第2次世界大戦中にドイツで開発された技術である。きわめて小さな写真フィルムに文章を記録する。それを手紙の中の句読点に貼り付けて、検閲を免れたため、微小ドットと呼ばれた。
  5. ^ 意図的にノイズの多い画像を選ぶと良い。
  6. ^ 埋め込み場所を無作為に選べばさらに検出が困難になる

関連項目

参考文献

  1. 松井甲子雄・岩切宗利、『情報ハイディングの基礎』、森北出版、2004年、pp.2-21。
  2. 画像電子学会編、『電子透かし技術』、東京電機大学出版局、2004年、第12章「ディジタル・ステガノグラフィ技術について」、pp.181-195。
  3. Eiji Kawaguchi, et al: Principle and applications of BPCS-Steganography, SPIE's International Symposium on Voice, Video, and Data Communications, (1998-11).

外部リンク

  • ステガノグラフィープログラムの例: Qtech Hide & View (ダウンロード可)

ステガノグラフィ (Steganography)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/28 08:31 UTC 版)

コンピュータ・フォレンジクス」の記事における「ステガノグラフィ (Steganography)」の解説

データ隠蔽する手法として、ステガノグラフィがある。これは、画像などのバイナリファイル中にデータ埋め込んで隠す手法である。使用例としては、児童ポルノなどの違法なデータ隠蔽挙げられるこの手法への対策としては、ハッシュ値比較がある。証拠物の中の一見無害なファイルハッシュ値と、そのオリジナルファイル入手できれば)のハッシュ値比較し相違があればファイル内容にも相違があり、違法データ埋め込まれている可能性があると看破できる。

※この「ステガノグラフィ (Steganography)」の解説は、「コンピュータ・フォレンジクス」の解説の一部です。
「ステガノグラフィ (Steganography)」を含む「コンピュータ・フォレンジクス」の記事については、「コンピュータ・フォレンジクス」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ステガノグラフィ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ステガノグラフィ」の関連用語

ステガノグラフィのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ステガノグラフィのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
IT用語辞典バイナリIT用語辞典バイナリ
Copyright © 2005-2025 Weblio 辞書 IT用語辞典バイナリさくいん。 この記事は、IT用語辞典バイナリの【ステガノグラフィ】の記事を利用しております。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのステガノグラフィー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのコンピュータ・フォレンジクス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS