『ステガノグラフィア』
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「ヨハンネス・トリテミウス」の記事における「『ステガノグラフィア』」の解説
トリテミウスの最も有名な著作は『ステガノグラフイア』(『暗号記法』『秘密記法』『秘密書法』)である。1499年ごろ執筆、死後の1606年フランクフルトにて出版(それ以前も写本が出回っており、コルネリウス・アグリッパやヨーハン・ヴァイヤーは読むことができた)、1609年に禁書目録に記載され、1900年に禁書目録より除かれた。刊本は三巻まであり、表面上、魔術を論じたもののように思われ、特に、精霊を使ってはるか遠方と通信する方法を論じたもののように読み取れる。本書は出版される前から原稿や写本を見た人々に魔術的呪文に満ちた書物との印象を与え、芳しからぬ評判を得たが、1606年に出版されてからは、魔術に無関係な暗号の方法を述べた本として擁護する人々が出始めた。17世紀のファン・カラミュエル・イ・ロプコーヴィッツやヴォルフガンク・エルネスト・ハイデルの分析によって第一・二巻の解読鍵が明らかになって以来、実際に暗号理論とステガノグラフィーに関する本として知られるようになった。そこに見られる天使や精霊の名は、便宜上使われた記号と解釈することができる。近年まで第三巻は魔術に関するものと広く信じられてきたが、今では“魔術めいた”式文もさらに別の暗号記法を内容とした秘密文であったことが証明されている。現代の暗号分野であるステガノグラフィーの呼称はこの本の題名を借りたものである。
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