Toyocrypt
Toyocryptとは、東洋通信機によって開発されたストリーム暗号の方式のことである。2000年に発表された。
Toyocryptの発表当初は「事実上、永遠に解けない暗号となるのではないか」との評判を得ながら、暗号技術を評価するプロジェクトである「CRYPTREC」に提出された。CRYPTRECの審査を通過すれば、「電子政府推奨暗号」として認められるはずであったが、Toyocryptは2次選考どまりで採択されるには至らなかった。
しかしToyocryptは、難解な暗号方式として世界中の研究者の注意を引き続け、その解読可能性が長らく研究の的となっていた。Toyocryptを解読するには、高度なプログラミングの能力と高速のコンピューターを必要とするため、生半可な計算機では解析できず、実際に解読された例を生み出すことがなかった。
独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)は、代数的攻撃手法に対する暗号の安全性を評価する手法を確立するために、専門の解読プロジェクトを立ち上げ、IPA認定のエキスパートたちで解析に取り組んだ。その活動は、「グレブナー基底探索アルゴリズム」と呼ばれる多次多変数連立方程式の解法によるプログラム(IPA-SMW)の開発の一環であった。このIPA-SMWを、IPAが所有する暗号研究専用のグリッドコンピューティング用機台(2GHzの64ビットCPUを128個装備している)によって解析し、2005年9月26日にToyocryptの解読に成功した。ちなみに解析に要した時間は、27分間と極めて短時間で行われた。
IPAは今後、このIPA-SMWを用いて、継続的に電子政府推奨暗号等の安全性評価を行っていくとしている。ちなみに、プログラムのソースコードはIPAのWebサイトで公開されている。
参照リンク
プレスリリース‐独立行政法人・情報処理推進機構
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