シリア軍ミサイル艇との交戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 05:32 UTC 版)
「ラタキア沖海戦」の記事における「シリア軍ミサイル艇との交戦」の解説
このとき、シリア海軍のコマール型ミサイル艇2隻とオーサ型ミサイル艇1隻がラタキア港から南下したばかりであり、イスラエル艦隊の要撃を指示された。これらのシリア海軍ミサイル艇は、イスラエル艦隊のレーダー画面上ではグラウンド・クラッターに紛れていたことから、探知されずにP-15(SS-N-2)艦対艦ミサイルの射程内に接近できた。シリア軍ミサイル艇が接近し、ついにイスラエル海軍ミサイル艇隊のレーダーに探知された直後、23時27分、P-15艦対艦ミサイルが斉射され、イスラエル側の不意をついた。 しかしイスラエル側はただちにジャミングやチャフ発射などの電子攻撃で対応し、P-15はいずれも外れた。1967年のエイラート事件以来、イスラエル海軍はP-15の対策に神経を尖らせており、その対策が見事に奏効したことから、海軍司令部は歓喜に沸き立った。一方、シリア海軍司令部では、これらの電子攻撃によって、レーダー画面上に高速水上目標×3、低速水上目標×10、ヘリコプターらしき目標2群を認めており、混乱に陥った。 シリア軍ミサイル艇はミサイル斉射後ただちに離脱を図ったものの、イスラエル側のほうが優速で距離をつめられたことから、オーサ型は途中で反転し、再度の攻撃によって遅滞を図った。オーサ型を含むシリア軍ミサイル艇にはいかなるミサイル防御措置も備えられていなかったことから、これは非常に勇気のある決断であった。これに対し、バルカイ大佐は「ガーシ」(艇長シャフレル少佐)を派遣した。両艇は正面から距離を詰めていき、まず距離30キロメートルでオーサ型が、ついで距離20キロメートルで「ガーシ」がミサイル発射を開始し、いずれも2発ずつを発射した。オーサ型のミサイルはいずれも外れ、「ガーシ」のミサイルはいずれも命中した。また「ミツナク」も逃走中のコマール型のうち1隻を射程に捉え、やはりミサイル2発を発射、命中させた。被弾したシリア軍ミサイル艇はいずれも撃沈された。 残る1隻のコマール型は既にミサイルを撃ち尽くしており、またイスラエル艇よりも鈍足で、離脱できる見込みはなかったことから、艇長は岸に座礁・擱座して、乗員を上陸・脱出させた。座礁したコマール型は「ミツナク」により、またミサイル攻撃を受けて大破・漂流するシリア軍掃海艇は「ハニット」によって攻撃・処分された。
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