シャブタイ派の現在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 00:49 UTC 版)
シャブタイ派直系の宗派として現在でも生き残っているのは、トルコを中心に活動しているドンメ派だけである。トルコ建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルクは、ドンメ派の小学校で教育を受けて育ったため、彼のことをドンメ派の出身者であると主張する者もいる。 ドンメ派は1683年にテッサロニキで誕生し、シャブタイ・ツヴィの時代にイスラム教に改宗したグループと合流して地盤を安定させた。彼らの人口は18世紀の段階で約3,000人とされ、19世紀の末になって10,000人を超えるようになった。20世紀の第一四半期の間は13,000人から15,000人だったと見積もられている。テッサロニキではドンメ派の出身者が要職に就いているケースが多く、銀行家や実業家、医者、法律家など、エリート層の比率は高い。また、国政に携わっている者も少なくない。創設の経緯から分かるように、ドンメ派の構成員は代々イスラム教徒としての生活を営んできたのだが、それは建前でしかなく、実際には正規のイスラム教を受け入れていなかった。また、イスラム教徒、および一般のユダヤ教徒との結婚を許さず、近親婚を繰り返してきた。これはすなわち、近親相姦のタブーが代々破られてきたことを意味しており、かつては儀式において性的な乱交が催されていると非難されることもあった。また、西洋の宗教にある性における男女間の合意という観念も欠如していたようである。現在ではほとんどの地域で世俗化が果たされており、イスラム教徒との同化も進んでいる。そのため、ドンメ派としてのアイデンティティを持つ世代はいずれ消滅するのではないかと懸念されている。
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