サイエンスカフェの基本思想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/21 17:15 UTC 版)
「サイエンスカフェ」の記事における「サイエンスカフェの基本思想」の解説
サイエンスカフェとは特定の場所を示す言葉ではないものの、その開催場所は非常に重要な意味を持つ。当初、この運動がこれほど広まるとは期待されていなかったが、カフェという場の、落ち着いて形式ばらない雰囲気が科学への敷居を低くした。講堂には、講義を受けてノートを取り試験を受けるというイメージがある。一方、カフェには、リラックスしたり、議論を楽しんだり、好きなときに来て好きなときに出ていけるというイメージがある。そのため誰とでも対等の関係、すなわち知識においては対等ではないが、敬意においては対等の関係で議論することができる。 「サイエンスカフェの狙いは何ですか?」この質問に、話題提供のスピーチを終えたオリヴァー・サックス(作家、神経科医)は次のように答えた。「サイエンスカフェの狙いは、科学を再び文化の中に戻すことです。」過去において科学は、退屈で難しく、正確無比で自動的なものであると捉えられてきたが、現在では、時事的であり、強力な力を持ち、危険であると同時に重要であると捉えられている。科学は宇宙を説明するだけでなく、気候変動や遺伝子地図、脳の働きなど様々な問題を考察する際の力となる。すなわち個人レベル、全地球レベル、全宇宙レベルにおいて私達と関係しているのである。 英国においてサイエンスカフェの発展を主導した一人であるトム・シェークスピア(英語版)は、その本質は科学的知識を伝えることではなく問いを提示することだと述べた。市民参加者にとってその研究にどのような意味があるのか、社会にどのような変化が生まれるのかといった、「社会的・倫理的・文化的・政治的な、場合によっては宗教的な問題」を中心に据えるべきだという。 科学は全世界で共通だが、他の文化は共通ではない。そのためカフェは、それぞれの土地の文化に合わせて様々な手法で行われる。英国においては一般に話題提供者は一人であるが、デンマークでは二人(内一人は科学者ではない)であり、フランスでは四人(休憩時間にはバンド演奏も加わる)である。アフリカにおけるテーマは「HIVと共に生きるには」「マラリア予防法」「水の浄化法」など、より実際的なものが多い。地元住民の力によって、サイエンスカフェは、科学を文化的な側面から見直すという動きを促している。
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