コミュニティバスと狭隘路線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:14 UTC 版)
「狭隘路線」の記事における「コミュニティバスと狭隘路線」の解説
コミュニティバスの路線設定においては、交通空白地帯の解消や、バス通りの停留所まで歩いて行けない高齢者など交通弱者の利便を図るため、従来の一般路線バスが運行できなかった住宅街などの狭隘路に経路を設定することが行われている。そのため車両制限令で定められている幅員基準をクリアするのに苦心する場合がある。都市部の郊外地域では高度成長期にベッドタウン化し急速に人口が増加したため道路整備が追いつかず、農道を拡幅し舗装しただけのような道も多く道路事情が悪い。 一例として、1995年に開業した東京都武蔵野市のムーバスでは、住宅街の狭隘路を運行するため小型車の日野・リエッセを導入したが、警視庁からルート内に幅5.2mの道路があり車両制限令に抵触すると指摘されたため、特殊車両通行認定を受けた上で、さらに専用車両の路肩灯を埋め込んで車幅を2cm狭め、停留所を路端ぎりぎりに寄せて設置するなど苦心して開業にこぎつけた。 ムーバスを開業した当時の武蔵野市長・土屋正忠は著書の中で、ムーバス開業前には「警視庁からは交通安全のため、原則として幅8m以下の道路には路線バスの開設許可をしないという見解を示されていた」と述べるとともに、「大型バスでは幅10m以上の道路しか路線を設定できず、それ以下の狭い道路沿いの住民は路線バスの恩恵を受けられず取り残されていた」と述べている。 東京都三鷹市のみたかシティバスでも、2012年に開業した「新川・中原ルート」の経路上の中仙川通りの区間内に、車両制限令による幅員基準を満たさない狭隘路(最狭部幅員約3.0m)が存在したが、対向車との離合のための待避所を5か所(うち3か所は停留所)を設置することで運行可能とした。同様の例は杉並区のすぎ丸「けやき路線」にも存在したが、阿佐ヶ谷住宅の再開発に伴う道路拡幅により解消している。また、東京都府中市のちゅうバス北山町循環では、経路中にリエッセでも離合できない狭隘区間があるため、路上に誘導員を配置し、バス乗務員と誘導員が無線で連絡を取り合いながら、往路と復路の車両が交互に通行する方法を取っている。 このため、コミュニティバスなどの狭隘路線では小型バスが採用される例が多いが、かつては日産ディーゼル・RN、日野・リエッセ、三菱ふそう・エアロミディMEなど各メーカーが販売していた小型バスが生産終了し、現行車種で唯一立席乗車が可能な小型バスは日野・ポンチョのみとなったため、車種の選択肢が狭まっている。またノンステップバスであるポンチョは、ノンステップエリアを広く取るためホイールベースが長くなっており、リエッセなどで運行されていた狭隘路線では車両代替に伴いルートを変更したり、武蔵村山市内循環バスのようにカーブミラーを増やすなど安全対策を強化せざるを得ない場合もある。
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