コガネグモとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > コガネグモの意味・解説 

こがね‐ぐも【黄金蜘蛛】

読み方:こがねぐも

コガネグモ科クモ体長は雌2〜3センチ、雄約5ミリ。雌の腹部には黒地3本黄色帯があり、脚は黒色一部灰白色人家近く円い網を張る鹿児島県高知県ではこのクモ戦わせる行事がある。地方によってジョロウグモとも呼ぶ。

黄金蜘蛛の画像
撮影朝倉秀之

黄金蜘蛛

読み方:コガネグモ(koganegumo)

クモ一種


黄金蜘蛛

読み方:コガネグモ(koganegumo)

コガネグモ科クモ

学名 Argiope amoena


コガネグモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/04 08:50 UTC 版)

コガネグモ
Argiope amoena メス成虫
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: クモ綱 Arachnida
: クモ目 Araneae
亜目 : クモ亜目 Opisthothelae
下目 : クモ下目 Araneomorphae
上科 : コガネグモ上科 Araneoidea
: コガネグモ科 Araneidae
亜科 : Argiopinae
: コガネグモ属 Argiope
: コガネグモ A. amoena
学名
Argiope amoena
(L. Koch1878)
シノニム

Argiope davidi Schenkel, 1963 Coganargiope amoena Kishida, 1936

和名
コガネグモ(黄金蜘蛛)

コガネグモ(黄金蜘蛛、学名: Argiope amoena)は、クモ目コガネグモ科に属するクモである[1]。サンバソウグモ、ヨロブリグモとも呼ぶ[2]。地方によりジョロウグモとも呼ばれるが、コガネグモとジョロウグモは別種である[2]

形態

体長は、メスで20~30mm、オスで5mmほどで、20~30mmという大きさはクモとしては大型の部類である。初夏に成熟し、メスの腹部には幅広い黄色と黒の横縞模様があるのが特徴である。オスのサイズはメスの1/5程度とはるかに小型であり、体色は茶色一色である。

生態

アブラゼミを捕獲したコガネグモ

造網性のクモで、ほぼ形に近いきれいな円網(えんもう)を作る。クモは常に網の中心におり、頭を下に向けて止まる。この時、前2対と後ろ2対の足をそれぞれそろえて真っすぐに伸ばし、その配置はX字状になる。コガネグモは、この足の配置に合わせるように、網の上に糸の帯でできた白いジグザグの模様をつける。これを、クモの姿を隠すものという意味で「隠れ帯」と呼んだが、実際にその効果があるかどうかは分からない。単純に「白帯」(はくたい)と呼ぶ場合もある。なお、白帯の形は、特に幼虫の場合には円形であったり、縦一直線であったりと、様々である。

餌の昆虫が網にかかると、その振動に反応して接近し噛みつく。さらに、獲物の体を独楽のように回しながら糸の帯を巻き付け、糸で包んでから網の中央に運び、そこで食べる。人為的に餌となりうるもの以外を網にかけたり挑発すると、網を網の平面に対して垂直に振動させて威嚇する。

オスは成熟すると網を張らず、メスのところにやって来る。メスの網の端で枠糸に足をかけ、糸に振動をあたえ、メスの機嫌をうかがい、それから網に入って交接を行う。メスは卵を糸でくるみ、卵嚢にして網の片隅にぶら下げる。卵嚢は細長い八角形くらいの形で、偏平で、2枚のに卵塊を挟んだような仕組みになっている。

幼体は秋に孵化し、糸を使って飛んで行くバルーニングを行う。年1化であり、成体は秋までに死亡する。

分布

日本では本州(岩手県南部)以南、伊豆諸島と沖縄諸島までの南西諸島に知られる。国外では台湾、朝鮮、中国に分布する。

人間との関係

コガネグモは日本の多くの地域においてごく身近に見られる普通種であり、中でも目立つ種であることから、その存在はよく知られている。そのために古くから各地で様々な名前で呼ばれていたようである。特にジョロウグモとは混同されやすく、同じものとして呼ばれることも多かったらしい。両種の違いについては後述する。それ以外に、湯原は子ども達が勝手に呼ぶ名としてチンダイグモ(鎮台グモ?)、ヘイタイグモ(兵隊グモ?)を取り上げている[3]

ただ、実生活において大きな利害はなく、子どもの遊びに使われる程度である。

その一つは、子どもがセミなどを捕まえる場合である。捕虫網のような柄と網の枠だけを用意し、この枠にクモの網を引っかけ、臨時の網として用いて虫を捕る、という方法があり、その場合に本種の網が使われることが多かったという[4]。ただし、現在では簡単な虫取り網が安価に入手できるから、このような方法は廃れている。

もう一つはクモ同士を戦わせる遊び「クモ合戦」(後述)で、本種もよく使われる。

クモ合戦

クモは肉食性の小動物であり、2匹を近づければ攻撃を仕掛け合うことがある。そこで、クモを捕まえてきて互いにけしかけ、喧嘩をさせる遊び(昆虫相撲)が各地にある。本種やナガコガネグモ(本種ほど攻撃的でないのでおもしろくないという)のような造網性のクモを使う場合や、徘徊性のハエトリグモを使う場合(ホンチ・フンチ)などがあり、各地の伝統的な遊びにもなっている。ただし、子供が野外での遊びをすることが少なくなった現在では、それを見ることはあまりない。海外ではフィリピンで2匹のクモを細い横棒の上で闘わせる遊び(クモ相撲)が子どもたちによって日常的に行われているが、使われているのはコガネグモではなく、ヒメオニグモ属のクモである。

現在、このコガネグモを使用したクモ合戦を地域の伝統行事として盛んにおこない、町おこしに利用しているところもある。鹿児島県姶良市加治木町では「加治木くも合戦」を毎年の6月第3日曜日におこなっている。大人も子供も参加し、参加するものはあらかじめコガネグモを採集し、大会まで大事に育てる。強いクモを飼育するには色々な秘伝があり、名人と呼ばれる人もいる。紅白の布を巻いた横枝のついた棒を立て、この横枝にコガネグモ2匹を止まらせ、互いに喧嘩するようにけしかける。行司役は「タッタッタ」というかけ声をかける。この行事は、伝承に由れば、文禄・慶長の役において、薩摩藩島津義弘が出陣した際、兵士達を励ますために始めたものとされている。高知県四万十市にも同様の行事で「全日本女郎ぐも相撲大会」(対戦するクモはコガネグモ)がある。

コガネグモとジョロウグモ

コガネグモと同じくらい名の通ったクモにジョロウグモがある。名前としてはむしろジョロウグモの方が有名かもしれない。この両者は共にごく普通のクモであり、両者が混同されることが多い。いずれもかつてはコガネグモ科に所属していた(ジョロウグモは現在ではジョロウグモ科に所属させる)ほどであって、多少似ていなくもなく、また、成虫の腹部に大柄な横縞があることも共通している。しかし、違いを知っていれば混同することはない。

コガネグモ
腹部は幅広く、黄色と黒の横しまで、足は比較的太く、直線的。網はほぼ円形の円網で、直径50cm位で、普通はX字型または楕円形の白帯をつける。初夏に成熟する。
ジョロウグモ
腹部は楕円形で、黄色と水色の横しまで、足は細長く、曲がっている。網は縦長の特殊な円網の変形で、前後に補助的な網をつけ、さしわたし1m近くになる。白帯はつけないことが多い。ごく稀にナガコガネグモに似た直線状の白帯をつけることがある。[5]秋に成熟する。

近縁種

コガネグモ属学名: Argiope)は、日本に7ある。地域にもよるが、普通に見られるのは以下のような種である。特に最初の2種は本種と共に見られ、斑紋も似ている。

コガネグモ Argiope amoena
チュウガタコガネグモ Argiope boesenbergi
コガネグモに似ているが、腹部の模様が異なる。日本本土に普通。
コガタコガネグモ Argiope minuta
コガネグモに似ているが、腹部の模様が異なる。日本本土に普通。
ナガコガネグモ Argiope bruennichii
腹部が細長く、細かい黒の横線模様がある。日本本土に普通。
ナガマルコガネグモ Argiope aemula
コガネグモとナガコガネグモの中間のような姿。南西諸島では普通種である。

脚注

  1. ^ クモ類標本データベース:コガネグモ Argiope amoena L. Koch, 1878”. 東京大学. 2024年8月24日閲覧。
  2. ^ a b 新村出 編『広辞苑』(第六版)岩波書店、2008年1月11日、978頁。 
  3. ^ 湯原(1931)p.126
  4. ^ 八木沼(1986),p.113
  5. ^ https://www.hindawi.com/journals/psyche/1973/086980/

参考文献

  • 浅間茂・石井規雄・松本嘉幸『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』(改訂版)全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2002年、70頁。ISBN 4-88137-084-7 
  • 小野展嗣編著、『日本産クモ類』、(2009)、東海大学出版会、p.425
  • 八木沼健夫,『原色日本クモ類図鑑』、(1986),保育社
  • 湯原清次、『蜘蛛の研究』、(1931)、綜合科學出版協會

関連項目

外部リンク


コガネグモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 05:20 UTC 版)

害虫女子コスモポリタン」の記事における「コガネグモ」の解説

手目女子の姿で描かれる。小兼の実験卓也コーヒー中に入れられる。

※この「コガネグモ」の解説は、「害虫女子コスモポリタン」の解説の一部です。
「コガネグモ」を含む「害虫女子コスモポリタン」の記事については、「害虫女子コスモポリタン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「コガネグモ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

コガネグモ

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 01:03 UTC 版)

名詞

コガネグモ黄金蜘蛛

  1. クモ目コガネグモ科コガネグモ属属するくもの一種学名:Argiope amoena。別名、女郎蜘蛛

「コガネグモ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コガネグモ」の関連用語

コガネグモのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コガネグモのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコガネグモ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの害虫女子コスモポリタン (改訂履歴)、ジョロウグモ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのコガネグモ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS