ゲージ不変性への関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/29 21:54 UTC 版)
電荷保存則は、ネーターの定理より系が持つ対称性の結果と考えることができる。この保存則と対称性の対応は理論物理学における重要な結果の一つである。 電荷の保存則と結び付いている対称性は、電磁場の大域的ゲージ不変性である。このことは、静電ポテンシャル ϕ {\displaystyle \phi } の基準点をどう定めても電場および磁場が変わらないことと関係しているが、対称性の完全な記述はもっと複雑であり、ベクトルポテンシャル A {\displaystyle \mathbf {A} } も関係する。 電磁気学において、任意のスカラー場 χ {\displaystyle \chi } の(4次元的な)勾配を電磁ポテンシャルに加える変換を行っても物理は変わらない。(参照: 電磁ポテンシャル#ゲージ変換) ϕ ′ = ϕ − ∂ χ ∂ t A ′ = A + ∇ χ {\displaystyle \phi '=\phi -{\frac {\partial \chi }{\partial t}}\qquad \qquad \mathbf {A} '=\mathbf {A} +\nabla \chi } 量子力学では、ゲージ変換は(上記のポテンシャルの変換に加えて)荷電粒子の波動関数の位相をスカラー場 χ {\displaystyle \chi } に比例してずらすことになる。 ψ ′ = e i q χ ψ {\displaystyle \psi '=e^{iq\chi }\psi } 電荷におけるゲージ不変性は非常に重要で電磁場の特性をよく表しており、多くの検証可能性を提供している。電荷保存則の理論的な正当性は、この対称性と結びつくことで強化されている。ゲージ不変性は、例えば、光子は質量を持たないことを要請する。光子の質量がゼロであるという実験的事実は、電荷が保存されていることの強力な証拠にもなる。 しかしゲージ対称性が正確であるとしても、超弦理論で説明されるような隠れた余剰次元に我々が知る3次元空間から電荷が漏れ出す可能性があるなら、電荷は保存されないように見えるかもしれない。
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