クロックゲーティング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:38 UTC 版)
ほとんどのCPU(もっと言えばほとんどの順序回路)は同期式である。つまり、CPUは同期信号にしたがって動作するよう設計されている。この信号は「クロック信号」として知られていて、一定周期の矩形波の形であることが多い。電気信号の伝播速度からCPU内の信号経路の長さを考慮してクロック信号の周波数が決定される。この周波数は信号伝播の最悪ケースを考慮して決めなければならない。最悪ケースを考慮して周波数を決定すれば、CPU全体が波形のエッジ部分で動作するよう設計でき、CPUの設計を簡略化できると同時にトランジスタ数も減らすことができる。しかし、この設計手法の欠点としてCPU全体が最も遅い部分を待つように設計しなければならず、全体の高速化がその遅い部分によって制限される。この制限に対処するために命令パイプラインやスーパースケーラといった手法が採られてきた。 パイプラインだけでは同期式CPUの問題を全て解決することはできない。たとえば、クロック信号は他の電気信号の遅延に影響される。クロック周波数が高くなり、さらに複雑なCPUを動作させようとしたとき、全回路を同期させるのが困難になってきた。このため、新たな高性能CPUでは1つのクロック信号でCPU全体を同期するのではなく、いくつかのクロック信号で各部分を個別に同期させるようにしている。また、クロック周波数が高くなるにつれてCPUの発熱が大きな問題となってきた。クロック信号が"Hi"と"Low"を繰り返すことで多くのロジック回路が同様に"Hi"と"Low"を繰り返し、その回路が演算処理に使われていない時でもクロック信号が供給されている間は無駄に動作して発熱する。21世紀現在CPUに使用されている半導体回路では、信号電圧を"Hi"か"Low"に保持し続けるよりも"Hi"から"Low"や"Low"から"Hi"へ移る時に多くの電気エネルギーを消費する。このため、CPUに高速処理能力を求めるとクロック周波数が高くなり発熱も多くなって、さらに冷却する必要が生じる。 つまり、無駄にクロック信号を供給することを止めれば電力消費は抑えられ発熱も小さくなる。このように、演算処理に関与しない不要ブロックへのクロック信号の供給を止めるクロックゲーティング(英語版)と呼ばれる手法がある。
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クロック・ゲーティング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 10:17 UTC 版)
「半導体の低消費電力技術」の記事における「クロック・ゲーティング」の解説
動作していない演算回路セルのクロックを短時間でも供給遮断する。
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