クリミア独立宣言とは? わかりやすく解説

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クリミア独立宣言

読み方:クリミアどくりつせんげん
別名:クリミア共和国独立宣言

2014年3月ウクライナクリミア自治共和国議会表明したウクライナから独立するという宣言クリミア自治共和国およびセヴァストポリ特別市を「クリミア共和国」として独立した上でロシアへ編入を図るというもの。3月半ば行われた国民投票支持受けて採択された。

ウクライナでは2013年半ばから「ユーロマイダン」と呼ばれる反政府デモ活動展開されていた。2014年2月大規模な衝突発展し、第4代大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政治機能失い首都から離脱その間野党政権掌握し暫定政府築いた

ヤヌコーヴィチ親ロシア派として知られる2013年当時目前まで進めていたウクライナEU編入取り組みヤヌコーヴィチ破棄したことから、政権打倒機運一気高まったとされる。代わって政権掌握した野党政権親EU派とされる

ヤヌコーヴィチ政権崩壊並行してロシアクリミア半島軍事派遣実施事実上クリミア半島掌握したクリミア自治共和国議会ロシアへ編入是非を問う国民投票実施発表し10日ほど後に投票実施した投票率は8割を超え有効票の9割6分編入賛成した

ウクライナ暫定政権議会議長および大統領代行務めトゥルチノフは、クリミア独立宣言は無効とした。他方ロシアプーチン大統領クリミア共和国独立国として承認する構え見せた


なぜクリミア半島ロシアへ編入望み、またロシアクリミア半島編入を望むか、その理由としては、クリミア戦争を含む歴史的経緯をもって解説されることが多い。住民ロシア系移民が多い。
関連サイト世界の扉 「住民投票前に緊張高まるクリミア」 - NHK解説委員室 解説アーカイブス

クリミア独立宣言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:12 UTC 版)

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クリミア・セヴァストポリ独立宣言
ДЕКЛАРАЦИЯ о независимости Автономной Республики Крым и города Севастополя
クリミア自治共和国の国旗
作成日2014年3月11日
作成者クリミア自治共和国最高会議・セヴァストポリ特別市
目的住民投票クリミア自治共和国ロシア連邦への編入が支持された場合の即時独立と、ロシア連邦に対する編入の提案

クリミア・セヴァストポリ独立宣言(クリミア・セヴァストポリどくりつせんげん、ロシア語: ДЕКЛАРАЦИЯ о независимости Автономной Республики Крым и города Севастополя)は2014年3月11日、ウクライナ内のクリミア自治共和国最高会議(議会)ならびにセヴァストポリ特別市が採択した決議である。

背景

2013年11月よりウクライナ国内で発生した反政府運動は2014年2月にヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権の崩壊を招き、ウクライナ議会オレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行とする暫定政権を発足させた。しかし歴史的経緯からロシア系の住民が多い[1]クリミア自治共和国はこの決定を認めず[2][3]、ウクライナ暫定政権を承認しない立場のロシアは首都キエフを脱出したヤヌコーヴィチからクリミアへのの派兵を要請されたとして[4]、クリミア内のロシア人保護を名目に3月1日に上院ウラジーミル・プーチン大統領が提案したクリミアへの軍事介入を承認[1][5]。数日でクリミアを事実上の支配下に置いた[6]。この時、ヤヌコーヴィチはロシアに送った書簡の中で、「西側諸国の影響を受けたテロや暴力が公然と行われている。人々は言語や政治的な理由によって迫害されている」と主張し、「そのため合法性、平和、法、秩序、安定を回復し、ウクライナ国民を守るためにプーチン・ロシア大統領に対し軍事力を行使するよう要請する」と述べた。これに対し、米国のサマンサ・パウエル国連大使は「ウクライナでロシア語を母語とする住民の生活が阻害されているという主張には裏付けがない」と反論した[4]

3月6日、クリミア最高会議はロシアへの帰属を求める決議を圧倒的賛成多数で採択し、ロシアへの編入を問う住民投票を3月16日に実施すると発表[7][8]。ロシアでも領土編入手続きを定めた法律改正案の審議開始が明らかにされ[9]、ロシアのクリミア編入が現実味を帯びていった。これに対してウクライナ暫定政権はクリミアのみで領土に関する住民投票を行うことは憲法違反にあたり無効であると反発[10]。欧米諸国も住民投票への合法性に疑問を唱え、ロシアとの対立が深まっていった。

独立宣言

2014年3月11日、クリミア最高会議は16日の住民投票においてロシアへの編入が賛成多数を得た場合、クリミア自治共和国と、クリミア半島南部に位置しロシア黒海艦隊基地があるセヴァストポリ特別市が即時にウクライナよりいったん独立し、国際条約に照らしロシアに対して編入を提案するという内容の決議を出席議員81人中78人の賛成で採択した[11][12]。セヴァストポリ市議会も同調し、共同でクリミア共和国・セヴァストポリ特別市独立宣言として発表した[13]

独立宣言は、国際連合憲章民族自決について規定した各種国際文書、また国際司法裁判所が2010年にコソボセルビアからの一方的な独立宣言を合法と裁定したことにも言及した[12]

クリミア最高会議広報部は、独立宣言はいかなる国際法にも抵触しないと主張し[11]、コンスタンチノフ議長はクリミアがウクライナに戻る選択肢はなくなったと宣言した[12]

議会は同時に、クリミア独立後にクリミア・タタール語公用語化するといった内容の決議も採択し、ロシア編入に反対する少数民族クリミア・タタール人への配慮を行った[12]

3月16日に行われた住民投票ではロシアへの編入に賛成する票が全体の9割を超え、翌17日、クリミア最高会議はウクライナからの独立とロシア連邦への編入を決議した[14]

目的

国際法上、当該国同士の合意なしに領土の帰属変更を行うことは認められない懸念があるため、独立宣言はクリミアの分離を既成事実化し、独立国家としてロシアに編入されるための体裁を整えるためのものとされた[11]

独立宣言の反響

国内

ウクライナ暫定政権は決議以前から違法であるとしており[11]、クリミアの独立宣言を受け、ウクライナ最高会議はクリミアに再考を促す決議を採択[13]。3月12日までにクリミアが住民投票を中止する決定を行わなければ自治共和国議会を解散することを決議した[12]

またヤヌコーヴィチ出身の地域党からも、独立宣言に対して反対の声があがった[15]

国外

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. ^ a b “ロシア上院、ウクライナ国内へのロシア軍派遣を承認”. wsj.com (ウォール・ストリート・ジャーナル). (2014年3月2日). http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304227204579413711288031216.html 2014年3月12日閲覧。 
  2. ^ “武装集団がクリミア議会占拠、ヤヌコビッチ氏はロシアに ウクライナ”. CNN.co.jp (CNN). (2014年2月28日). http://www.cnn.co.jp/world/35044591.html 2014年3月12日閲覧。 
  3. ^ “セヴァストーポリ市行政、公用文書にロシア語を使用”. ロシアの声. (2014年3月10日). http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_10/268791187/ 2014年3月12日閲覧。 
  4. ^ a b “ヤヌコビッチ氏、ウクライナ軍事介入を要請=ロシア国連大使”. reuters.com (ロイター). (2014年3月4日). オリジナルの2022年5月30日時点におけるアーカイブ。. https://archive.ph/SKkxx 2022年5月30日閲覧。 
  5. ^ “ロシア上院、ウクライナへの軍の派遣を承認”. AFPBB News (フランス通信社). (2014年3月2日). http://www.afpbb.com/articles/-/3009558 2014年3月12日閲覧。 
  6. ^ “「ロシア軍がクリミアを完全支配」、米高官が見解”. AFPBB News (フランス通信社). (2014年3月3日). http://www.afpbb.com/articles/-/3009591 2014年3月12日閲覧。 
  7. ^ “クリミア議会がロシア編入求める決議、16日に住民投票へ”. AFPBB News (フランス通信社). (2014年3月7日). http://www.afpbb.com/articles/-/3009903 2014年3月12日閲覧。 
  8. ^ “クリミア議会、ロシア編入を決議 住民投票へ”. CNN.co.jp (CNN). (2014年2月28日). http://www.cnn.co.jp/world/35044913.html 2014年3月12日閲覧。 
  9. ^ “ロシア下院、クリミア編入へ法改正案を審議へ”. 読売新聞. (2014年3月8日). http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20140308-OYT1T00733.htm 2014年3月12日閲覧。 
  10. ^ “ウクライナはクリミア住民投票受け入れず-憲法違反と主張”. bloomberg.co.jp (ブルームバーグ). (2014年3月9日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N257OS6KLVR401.html 2014年3月12日閲覧。 
  11. ^ a b c d “クリミア議会、ウクライナからの独立を決議”. AFPBB News (フランス通信社). (2014年3月11日). http://www.afpbb.com/articles/-/3010151 2014年3月12日閲覧。 
  12. ^ a b c d e “クリミア議会 独立宣言 議長「ウクライナに戻らぬ」”. 産経新聞. (2014年3月12日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/140312/erp14031200140000-n1.htm 2014年3月12日閲覧。 
  13. ^ a b “クリミア議会、独立宣言=ロシア編入へ布石-共和国首都の空港閉鎖”. 時事ドットコム (時事通信). (2014年3月12日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014031100865 2014年3月12日閲覧。 
  14. ^ “クリミアがウクライナから独立宣言、ロシア編入9割賛成”. AFPBB News (フランス通信社). (2014年3月17日). http://www.afpbb.com/articles/-/3010479 2014年3月18日閲覧。 
  15. ^ “親ロシア派も反発=クリミア独立宣言-ウクライナ”. 時事通信. (2014年3月12日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014031200003 2014年3月12日閲覧。 
  16. ^ “クリミア独立宣言、有効性に疑問=衆院外務委で岸田外相”. 時事通信. (2014年3月12日). http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014031200398 2014年3月13日閲覧。 
  17. ^ “クリミア独立宣言は「合法」=選挙監視団派遣も-ロシア”. 時事通信. (2014年3月12日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2014031200001 2014年3月12日閲覧。 
  18. ^ “クリミア“独立宣言”に米「憲法に反する」”. 日本テレビ放送網. (2014年3月12日). http://news24.jp/articles/2014/03/12/10247314.html 2014年3月12日閲覧。 

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