ギロンの美術・造形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 13:56 UTC 版)
「ガメラ対大悪獣ギロン」の記事における「ギロンの美術・造形」の解説
ギロンのデザインは、前作まで怪獣デザインも担当していた美術の井上章が本作の制作に入る前に大阪万博の仕事で腰を痛めてしまったため、矢野友久が代わって担当したものを井上がまとめる形となっている。矢野は演技者が横向きに入る、湯浅によると「ヒラメのような怪獣」を考えていたが、演技の際の支障があって実現しなかった。井上はそれまで敵怪獣のデザインは「生物的にと念頭に置いてきた」とコメントしており、これと相反したような「生物」からかけ離れたギロンのデザインについては、「とにかく凄い怪獣にしようとスタッフで話し合い、全身を武器にとの発想が出てきて、刃物の頭に身体を着けたらギロンが出来た。もう生物じゃありませんよ、発想が武器から入っているから。だから目に見える武器を持っているのもギロンだけなんです」と語っている。井上はシリーズを振り返って、「一番好きな作品」として本作を挙げている。 ぬいぐるみは、シリーズで特殊造形を担当してきたエキスプロが韓国映画『大怪獣ヨンガリ』の怪獣造形にかかりきりだったため、開米プロによって造型された。小型の精巧な操演用ミニチュアも造られた。 名前は前作のバイラスに引き続き、講談社の『少年マガジン』、『週刊ぼくらマガジン』誌で公募された。ギロンが宇宙ギャオスを切り刻むシーンで、湯浅は切り刻んだその肉をかいだギロンが上げる「くせえ、くせえ」という鳴き声を、エフェクトをかけた音声で吐かせている。強敵であったはずのギャオスがあっさりとギロンに負けたこのシーンは、湯浅に「観客の子供達の不評を買った」と述懐されており、残虐描写に関しては「いまだに気が引ける」とも語られている。その後、鳴き声は1973年に大映スタジオで撮影されたテレビ特撮ドラマ『ファイヤーマン』(円谷プロ、日本テレビ)に登場した怪獣「スコラドン」に流用されている。 『ガメラ対大魔獣ジャイガー』や『宇宙怪獣ガメラ』には、ライブフィルムで登場。 当初、平成ガメラシリーズ2作目の敵怪獣候補として名前が上がっていたが、不採用になった。しかし、宇宙怪獣、角が主な武器、無機物によって構成された体、などの特徴の多くは、マザーレギオンへ継承された。他方、『ガメラ2』を監督した金子修介によれば、ガメラ2の対戦怪獣としてギロンの名前が挙がったのは事実ではあるものの、特技監督の樋口真嗣を交えてアイデアを出し合い、脚本を担当した伊藤和典が設定考証をした結果生まれたのがレギオンであり、ギロンがレギオンのモデルというわけではないと証言している。また伊藤も、宇宙怪獣の着想はギロンの影響があった可能性は述べているものの、ギロンがレギオンのモデルであると明言してはいない。 ジグラのイメージが投影されていることは関連書籍にて言及されている。 映画『パシフィック・リム』に登場する怪獣の1体・ナイフヘッドは、その名のとおり「頭部がナイフ状になっている怪獣」であり、ギロンの影響が指摘されている[誰によって?]。
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