キルクーク油田とは? わかりやすく解説

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キルクーク油田

読み方きるくーくゆでん
【英】: kirkuk oilfield

イラク北部ティグリス川中流部北東側ザグロス山脈山中標高 2,000m )に位置する同国最大油田
当時トルコ石会社TPC1929 年イラク石油会社 IPC改称)により掘削されたババドーム 1 号井が 1927 年 10 月 15 日に大暴噴起こしたをもって油田の発見とされる生産開始1934 年現在の操業会社国営石油会社 NOCNorth Oil Company)。原油は、「キルクーク~ジェイハン・ライン」と呼ばれる 2 本のパイプライン口径 40 インチ46 インチ長さ 1,049km 、送油能力170 バレル/日)でトルコ地中海ジェイハンの貯油・出基地輸送されるが、イラク戦争後反政府勢力による度重なるテロ攻撃により、このパイプラインはほとんど機能していない。他に「キルクーク~ジェイハン・ライン」の途中からルマイラ油田をへてアラビア湾ペルシャ湾)側のファオの貯油基地達する「戦略ライン」(口径 42 インチ長さ 760km 、送油能力 98 バレル/日)があるが、湾岸戦争以来、このパイプライン機能していない可能性が高い。
地質区としてはザグロス褶曲帯(前縁盆地)に属し、集油形態背斜構造、集油面積は 300km2 以上。産油層は第三紀メイン石灰岩アスマリ層相当)、白亜紀のシラニシュ層およびカンチュカ層の石灰岩で、深さそれぞれ 430m 、950m 、1,250m 。究極可採埋蔵量は約 170バレル見積もられている。原油性状は、比重 3644°APIイオウ分 1.95 ~ 2.34 %。
産油量は 1979 年142 バレル日台ピーク記録したイラク戦争開始2003 年 3 月)後の産油量は、パイプライン長期送油停止影響50 バレル/日を下回るレベル落ち込んでいると見られる

主文献『世界の大油田』(1984)、『石油地質探鉱用語集』(1989
齊藤 隆2006 年 3 月

キルクーク油田

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 21:37 UTC 版)

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キルクーク油田(キルクークゆでん)は、イラク北部にある油田

概要

イギリス委任統治領メソポタミア時代の1927年キルクーク近郊のババ・グルグル英語版(Baba Gurgur)で発見された油田であり、1934年よりイギリス系のイラク石油会社英語版によって採掘が開始された[1]。可採埋蔵量は250億バレルと推定され、すでに半分以上が採掘されたものの[1]、21世紀に入ってからも採掘が続けられている大規模油田である。ザグロス褶曲帯にあり、第三紀石灰岩が主要貯油層となっている[1][2]

キルクークをはじめとするイラクの油田は、イギリスのイラク王国間接統治や、イラクの資源ナショナリズムの関心の対象となってきた。産出量は1979年にピークを迎え、142 万バレル/日に達し、トルコやシリアを経由し、パイプラインによる輸出が行われていた(キルクーク・ジェイハン石油パイプライン英語版キルクーク・バニヤース石油パイプライン英語版)。その後はイラン・イラク戦争湾岸戦争イラク戦争の影響と経済制裁により低迷している。

イラク戦争終結後に再び輸出量の増大させることが企図されている。ただし、クルド人自治と関連し、油田の帰属・石油収入の配分が問題となっている[3][4][5]。キルクーク油田周辺は伝統的にクルド人の多い地域であったが、サダム・フセイン政権下ではアラブ人の移住が推進され、この地をクルディスタン地域に組み込もうというクルド人と反対するアラブ人の争いが起こっている。

2014年6月イラクとシャームのイスラーム国ISIL)がイラク北部の中心都市モースルを制圧した際、クルディスタン地域自治政府はキルクークを制圧した[6]

2017年10月18日、イラク軍は油田を含むキルクークの奪回を発表した[7]

2018年1月、イラク中央政府の石油大臣は、イラク内戦や対ISIL戦で影響力を強めた隣国イランに対して、キルクーク産原油を輸出することを表明した[8]

脚注

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