ガラス製・光ファイバーの製造法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 00:42 UTC 版)
「光ファイバー」の記事における「ガラス製・光ファイバーの製造法」の解説
ガラス製・光ファイバーの製造は母材製造(プリフォーム)と線引きの2段階よりなる。 母材製造 MCVD法(Modified chemical vapor deposition method) 天然水晶から精製された石英ガラス管内にO2ガスによって気化したSiCl4、GeCl4、POCl3ガスを混合して送り込む。この管の外側から水素・酸素バーナーによって、摂氏1,600-1,800度まで加熱すると、送り込まれた酸化物ガスは一度「スート」(Soot)と呼ばれるガラス微粒子の集合体になって回転している石英ガラス管の内面に堆積してゆく。スートはバーナーからの熱を受けてより高温になって透明ガラスの層に変化する。このような堆積操作を100回程度行い、最後に管の内側に所要のガラス層が積層された石英管をさらに加熱し、中心部をつぶして母材とする。 OVD法(Outside vapor deposition method) MCVD法と同様にArガスを使ってSiCl4とGeCl4などのガラス原料ガスの蒸気を作りH2とO2のガスで加熱したターゲットロッドの側面に吹き付けてスートを堆積させる。スートが十分に成長すれば、ターゲット・ロッドをスートの管状堆積体(スート母材)から引き抜き、次にスート母材を高温加熱によって焼結して、管状で透明な光ファイバー母材を得る。 VAD法(Vapor phase axial deposition method、気相軸付け法) 水素と酸素の混合気体の火炎中で、高純度のSiCl4や屈折率に変化を持たせるGeCl4などを燃焼させることにより、不純物の少ないガラスを精製し、種となる棒の上に積もらせ、棒を移動させることにより長くしていく方法である。内周部と外周部で添加物の種類や濃度を変えることによりGI型のコアの形成やコアとクラッドの同時形成ができる。大型の母材を精製することができるため、低コストで光ファイバー芯線を製造することができる。 上記3つの代表的なガラス製・光ファイバーの製造方法では、ガス化した原料の使用によって送り込む添加物の種類や濃度をコントロールすることが容易であるため、屈折率分布が複雑なファイバーや、特殊な元素をドープしたファイバーを比較的容易に製造することができる。 線引き 製造された母材を縦方向にして約2000℃にした電気炉にいれ、石英が溶けて自重で糸状に引き伸ばされて垂れてきたものを、保護樹脂で被覆して巻き取り、光ファイバー素線とする。
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