ガソリン・ディーゼル兼用オイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 03:41 UTC 版)
「API規格」の記事における「ガソリン・ディーゼル兼用オイル」の解説
ガソリンとディーゼルのオイル規格は異なる試験や基準値により設定されているため、基本的には互換性はなくガソリンエンジンにディーゼル規格油、ディーゼルエンジンにガソリン規格油を使用することは一部を除き出来ない。ガソリンエンジン用オイルにおいてはディーゼルエンジンに必要とされる酸中和性(高硫黄軽油の場合)、すすや高温スラッジに対する清浄分散性、低灰分(DPF装着車の場合)などに関する部分が不足もしくは不適合な事がありディーゼルエンジンに使用することは望ましくない。ディーゼルエンジン用オイルをガソリンエンジンに使用しても短期的には重大な不具合を起こす事は考えにくいが中長期的には悪影響をもたらす可能性がある。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは求められる洗浄分散性が異なり、ディーゼル用オイルではガソリンエンジンで生じやすい低温スラッジへの対応が不足していたり、規格によっては触媒への攻撃性が高く、高灰分によりデポジットが増加する場合もある。 ただしガソリン・ディーゼル兼用オイルが存在する。例としてはSN/CFやCJ-4/SMといった形で表記され、前方に表記されているのがメイン規格であり、後方に表記されるのが付加されたサブ規格となる。併記されている場合は規格に適合する限りはガソリンおよびディーゼルエンジンで使用が可能である。目にする事が多いものとしてはガソリン規格(Sx)にCF規格が付加されたものがある。CF規格の場合、要求値が低く容易にガソリン規格へ付加できるレベルの規格であるため多くのガソリン向けオイルでCF規格相当の表記がなされている。その他CF-4規格が付加されたオイルも比較的存在するが、CG-4以降になるとガソリン規格にディーゼル規格を付加したものは少なくなっていき、逆にディーゼル規格にガソリン規格を付加したものが多くなる。これはAPIディーゼル規格が新しい規格になるごとに厳しくなったことからガソリン規格にディーゼル規格の性能を付加する事が困難になり、逆にガソリン規格の性能を付加する方が容易になった為である。規格にかかるエンジン試験だけを取りげてもCFは2種類と少ないが、CF-4では4種類、それ以降は規格をおうごとに増え続けCJ-4に至っては9種類となっている。これはSN規格で要求されるエンジン試験よりも多く、開発および認証にかかるコストはガソリン規格よりも大きくなっている。このため近年のCI-4,CJ-4といったディーゼル規格の兼用オイルはCJ-4/SMやCI-4/SLといったディーゼル規格がメインとなっているものが多い。
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