オンドルと住宅構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 16:50 UTC 版)
冷涼乾燥気候の朝鮮半島では住宅へのオンドル設置は常識であった。同時にオンドルの設置と使用により、生活様式はさまざまな影響を受け、変革された。竈の火で床下を暖めるという構造上、2階以上の床下を暖めることはできない。そのため朝鮮半島では平屋の建築が主流となった。床下に煙が流れ込みやすいよう、竈がある釜屋(プオク・台所)は居室より低い半地下式に作られ、台所の天井裏には高低差を生かして「タラク」という納戸が設けられた。若い嫁が一人で泣けるのは、このタラクの中だけだったという。オンドルで温められる部屋は焚口=台所に近い場所ほど暖かいため、台所に近い場所が上座とされた。熱く乾燥した床に接して木材が狂わないよう、家具は「足つき」のものが主流となった。また、床のぬくもりが人体に伝わりやすいように蒲団や座布団は薄く作られた。 日本列島も朝鮮半島も夏は暑く冬は寒い四季の明瞭な気候だが、寒暖の期間と湿気の有無が異なる。このため日本と朝鮮半島の民家は一見すると似ているようだが、細部では違いがある。近世以降の日本の民家の多くが無暖房住宅(囲炉裏、こたつなどの採暖器具のみ)であり、大きな窓や縁側を設け、部屋も襖や障子を取り払えば風通しの良い大空間が得られるなど、高温多湿の気候に即した造りだった。かたや朝鮮半島の民家の多く、特に北部地域はオンドルを用いて暖房し、窓や出入口を極力小さくして冷気の侵入を防ぐなど、寒冷で乾燥した冬の気候に最適化した閉鎖的な造りになった。ただし、ある程度温暖な朝鮮半島中南部では、民家には縁側(툇마루・トェンマル)や大庁(대청・テチョン)という板張りの空間があり、夏の気候に対応した開放的な造りになっている。
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