オランダ民事裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 01:07 UTC 版)
「スレブレニツァの虐殺」の記事における「オランダ民事裁判」の解説
オランダのハーグ地方裁判所では、オランダ政府と国際連合を相手とした2つの訴訟が起こされている。 そのうちの1つは、オランダの法律事務所ファン・ディーペン・ファン・デル・クルフ(Van Diepen Van der Kroef)に属する14人の弁護士によるもので、犠牲者の関係者六千人から成る団体「スレブレニツァとジェパの母たち」をはじめとする11の原告を代表している。ファン・ディーペン・ファン・デル・クルフは、犠牲者の家族6000人を代表し、国連の元で活動したオランダ軍を訴え、スレブレニツァの住民を保護していたオランダ軍は住民を見捨てたと非難した。国際連合とオランダがジェノサイド条約に規定されているジェノサイドを阻止する義務を果たさなかったこと、国際連合とオランダが、原告が受けた損害や、まだ法廷での決定がなされていない損害についても共同で賠償する責任を負うことについて、原告は法的判断を求めている。2008年7月10日、裁判所は国連には効力が及ばないとしたが、オランダ政府に対して裁判をすることを認めた。2014年7月16日、「スレブレニツァ(Srebrenica)の虐殺」で殺害されたイスラム教徒の男性や少年のうち、300人以上の死についてオランダ国家の責任を認める判決を下した。 2つめの訴訟は、国連の元通訳官ハサン・ヌハノヴィッチ(Hasan Nuhanović)と、スレブレニツァの国連軍で電気技師として働いたリゾ・ムスタフィッチ(Rizo Mustafić)の家族に関するものである。ヌハノヴィッチはハーグ地方裁判所でオランダ政府に対する訴訟を起こし、国連の平和維持活動に従事していたオランダ軍はスレブレニツァ安全地帯の治安維持に責任があり、スルプスカ共和国軍が彼の家族(兄弟、両親)を殺害するのを許したと主張した。ムスタフィッチの家族は、ムスタフィッチが同様の情勢の中で殺害されたことを訴えた。オランダ政府の責任について、オランダ政府(オランダ国防大臣)はこの地域における国連軍の事実上の司令官であり、オランダ憲法97条2項により、政府はオランダ軍部隊に対して指揮権("oppergezag")を持っていたと主張している。2008年9月10日、ハーグ地方裁判所は原告の訴えを退け、オランダ政府は国連軍のスレブレニツァでの行動に関して責任を有さないとした。原告は控訴することを表明している。
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