オックスフォード伯爵とは? わかりやすく解説

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オックスフォード伯爵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/01 10:23 UTC 版)

オックスフォード伯爵
(第1期)
Earl of Oxford

紋章記述

Arms:Quarterly Gules and Or in the first quarter a Mullet Argent.Crest:A Boar passant Azure bristled and hoofed Or.Supporters:Dexter: a Boar Azure bristled and hoofed Or; Sinister: a Harpy wings inverted Or faced proper
創設回数 1142年7月
創設者 マティルダ皇后
貴族 イングランド貴族
初代 初代伯オーブリー・ド・ヴィアー英語版
最終保有者 20代伯オーブリー・ド・ヴィアー英語版
付随称号 なし
現況 廃絶
断絶時期 1703年3月12日
旧邸宅 ヘディンガム城英語版
モットー 真実より正しきものはなし
(Vero Nihil Verius)
その廃絶まで代々、式部卿職を世襲。

オックスフォード伯爵英語: Earl of Oxford)は、イギリス伯爵位。

1141年オーブリー・ド・ヴィアー英語版イングランド貴族爵位として叙されたのにはじまる。20代にわたって続いたが、1703年に廃絶した。

他にオックスフォードの名を関する爵位としてロバート・ハーレー1711年に叙されたグレートブリテン貴族オックスフォード伯=モーティマー伯1853年に廃絶)。ハーバート・ヘンリー・アスキス1925年に叙された連合王国貴族オックスフォード=アスキス伯がある(2020年現在も存続)。

歴史

オックスフォード伯爵(1141年)

ド・ヴィアー家英語版フランスノルマンディーヴェールフランス語版の出身であるために、ド・ヴィアーという家名になった。オーブリー・ド・ヴィアー1世英語版(-1112or1113)ウィリアム1世イングランド侵攻に加わってそのままイングランドに定着した[1]

その息子のオーブリー・ド・ヴィアー2世英語版(1085-1141)大侍従卿となり、さらにその息子で大侍従卿の地位を継承したオーブリー・ド・ヴィアー英語版(1115頃–1194) は、1141年7月にイングランド貴族爵位ケンブリッジ伯爵に叙せられた。しかしスコットランド王からケンブリッジはハンティンドン伯爵英語版たる自分に権利がある領地であるとの異議が唱えられたのでオックスフォード伯爵 (Earl of Oxford) に変更された[2]。以降同爵位は20代560年にわたってド・ヴィアー家に継承される[2]

3代伯ロバート英語版(1173頃–1221) は、ジョン王マグナカルタを迫った25人の貴族の一人である[1]

ド・ヴィアー家の所領は少なく、歴史が古い点と式部卿を世襲する役割以外にはこれといった特色のない貴族だったが[3]、9代伯ロバート (1362–1392) は、リチャード2世の側近として台頭し[4]、一代限りの爵位として1385年12月1日にダブリン侯爵(イギリスではじめての侯爵位[5])、1386年10月13日にはアイルランド公爵に叙せられ[2]、アイルランドの統治を任せられた(間もなく失脚)[6]

13代伯ジョン (1442–1513) は、薔薇戦争でランカスター派の指揮官として戦った[7]

20代伯オーブリー (1627–1703) の死去をもって男子継承者がいなくなり、爵位は廃絶した[8]

オックスフォード=モーティマー伯爵(1711年)

その後、オックスフォードの名を関する爵位が2つ創設された。1つはアン女王時代のトーリー党政権の首脳だったロバート・ハーレー1711年に叙されたグレートブリテン貴族オックスフォード伯爵=モーティマー伯である。この爵位は6代続いたが、1853年に廃絶した[9]

オックスフォード=アスキス伯爵(1925年)

もう1つは自由党首相を務めたハーバート・ヘンリー・アスキス1925年に叙された連合王国貴族オックスフォード=アスキス伯である。この爵位は2020年現在も存続している[10]

歴代当主

オックスフォード伯爵 (1141年)

  • 初代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー英語版 (1115頃–1194)
  • 2代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー英語版 (1163頃–1214) 先代の子
  • 3代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー英語版 (1165頃–1221) 先代の弟
  • 4代オックスフォード伯ヒュー・ド・ヴィアー英語版 (1207頃–1263) 先代の子
  • 5代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー英語版 (1240–1296) 先代の子。1265年剥奪, 直後に回復
  • 6代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー英語版 (1257–1331) 先代の子
  • 7代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー英語版 (1312–1360) 先代の甥
  • 8代オックスフォード伯トマス・ド・ヴィアー英語版 (1337–1371) 先代の子
  • 9代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー (1362–1392) 先代の子。1385年ダブリン侯、1386年アイルランド公、1388年剥奪)
  • 10代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー英語版 (1340–1400) 先代の叔父。1393年回復
  • 11代オックスフォード伯リチャード・ド・ヴィアー英語版 (1385–1417) 先代の子
  • 12代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー英語版 (1408–1462) 先代の子
  • 13代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1442–1513) 先代の子。1475年剥奪, 1485年回復
  • 14代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー英語版 (1499–1526) 先代の甥
  • 15代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー英語版 (1482–1540) 先代の二従兄弟
  • 16代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー英語版 (1516–1562) 先代の子
  • 17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアー (1550–1604) 先代の子
  • 18代オックスフォード伯ヘンリー・ド・ヴィアー英語版 (1593–1625) 先代の子
  • 19代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー英語版 (1575–1632) 先代の二従兄弟
  • 20代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー (1627–1703) 先代の子

オックスフォード=モーティマー伯爵 (1711年)

オックスフォード=アスキス伯爵 (1925年)

系図

オックスフォード伯爵ド・ヴィアー家系図
初代オックスフォード伯
オーブリー・ド・ヴィアー英語版

(1115頃-1194)
2代オックスフォード伯
オーブリー・ド・ヴィアー英語版

(1163頃-1214)
3代オックスフォード伯
ロバート・ド・ヴィアー英語版

(1165頃-1221)
4代オックスフォード伯
ヒュー・ド・ヴィアー英語版

(1207頃-1263)
5代オックスフォード伯
ロバート・ド・ヴィアー英語版

(1240-1296)
6代オックスフォード伯
ロバート・ド・ヴィアー英語版

(1257–1331)
アルフォンソ・ド・ヴィアー
(-1328)
7代オックスフォード伯
ジョン・ド・ヴィアー英語版

(1312–1360)
8代オックスフォード伯
トマス・ド・ヴィアー英語版

(1337-1371)
10代オックスフォード伯
オーブリー・ド・ヴィアー英語版

(1338–1400)
アイルランド公
ダブリン侯
9代オックスフォード伯
ロバート・ド・ヴィアー

(1362–1392)
11代オックスフォード伯
リチャード・ド・ヴィアー英語版

(1385–1417)
12代オックスフォード伯
ジョン・ド・ヴィアー英語版

(1408–1462)
ロバート・ド・ヴィアー
13代オックスフォード伯
ジョン・ド・ヴィアー

(1442–1513)
ジョージ・ド・ヴィアー ジョン・ド・ヴィアー
14代オックスフォード伯
ジョン・ド・ヴィアー英語版

(1499–1526)
15代オックスフォード伯
ジョン・ド・ヴィアー英語版

(1482-1540)
16代オックスフォード伯
ジョン・ド・ヴィアー英語版

(1516–1562)
オーブリー・ド・ヴィアー
(1519-)
17代オックスフォード伯
エドワード・ド・ヴィアー

(1550–1604)
ヒュー・ド・ヴィアー
18代オックスフォード伯
ヘンリー・ド・ヴィアー英語版

(1593–1625)
19代オックスフォード伯
ロバート・ド・ヴィアー英語版

(1575–1632)
20代オックスフォード伯
オーブリー・ド・ヴィアー英語版

(1627–1703)

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 森護 1987, p. 170.
  2. ^ a b c Heraldic Media Limited. “Oxford, Earl of (E, 1142 - 1703)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2015年11月24日閲覧。
  3. ^ 青山吉信編 1991, p. 382.
  4. ^ 松村赳 & 富田虎男 2000, p. 549.
  5. ^ 森護 1987, p. 5-6.
  6. ^ 青山吉信 1991, p. 382.
  7. ^ Tait, James (1899). "Vere, John de (1443-1513)" . In Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (英語). Vol. 58. London: Smith, Elder & Co.
  8. ^ Cokayne, George Edward; Doubleday, Herbert Arthur; Howard de Walden, Thomas, eds. (1945). The Complete Peerage, or a history of the House of Lords and all its members from the earliest times (Oakham to Richmond) (英語). Vol. 10 (2nd ed.). London: The St. Catherine Press. p. 261.
  9. ^ Heraldic Media Limited. “Oxford, Earl of, and Mortimer, Earl (GB, 1711 - 1853)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2015年11月24日閲覧。
  10. ^ Heraldic Media Limited. “Oxford and Asquith, Earl of (UK, 1925)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2015年11月24日閲覧。

参考文献


オックスフォード伯爵(1141年)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/08 07:05 UTC 版)

「オックスフォード伯爵」の記事における「オックスフォード伯爵(1141年)」の解説

ド・ヴィアー家(英語版)はフランス・ノルマンディー・ヴェール(フランス語版)の出身であるために、ド・ヴィアーという家名になった。オーブリー・ド・ヴィアー1世英語版)(-1112or1113)がウィリアム1世イングランド侵攻加わってそのままイングランド定着した。 その息子のオーブリー・ド・ヴィアー2世英語版)(1085-1141)は大侍従卿となり、さらにその息子大侍従卿地位継承したオーブリー・ド・ヴィアー(英語版)(1115頃–1194)は、1141年7月イングランド貴族爵位ケンブリッジ伯爵叙せられた。しかしスコットランド王からケンブリッジハンティンドン伯爵英語版)たる自分権利がある領地であるとの異議唱えられたのでオックスフォード伯爵(Earl of Oxford)に変更された。以降爵位20代560年わたってド・ヴィアー家に継承される3代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー(英語版)(1173頃–1221)は、ジョン王マグナカルタ迫った25人の貴族一人である。 ド・ヴィアー家の所領少なく歴史が古い点と式部卿世襲する役割以外にはこれといった特色のない貴族だったが、9代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー(1362–1392)は、リチャード2世側近として台頭し一代限り爵位として1385年12月1日ダブリン侯爵(イギリスではじめての侯爵位)、1386年10月13日にはアイルランド公爵叙せられ、アイルランド統治任せられた(間もなく失脚)。また13オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー(1442–1513)は、薔薇戦争ランカスター派指揮官として戦った20代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー(英語版)(1627–1703)の死去をもって男子継承者証明できる人物なくなり爵位休止(dormant)した。

※この「オックスフォード伯爵(1141年)」の解説は、「オックスフォード伯爵」の解説の一部です。
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