ウレア結合とは? わかりやすく解説

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尿素

(ウレア結合 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/13 21:19 UTC 版)

尿素
識別情報
CAS登録番号 57-13-6 
PubChem 1176
ChemSpider 1143 
UNII 8W8T17847W 
E番号 E927b (その他)
DrugBank DB03904
KEGG D00023 
ChEBI
ChEMBL CHEMBL985 
RTECS番号 YR6250000
ATC分類 B05BC02,D02AE01 (WHO)
特性
化学式 CH4N2O
モル質量 60.06 g mol−1
示性式 CO(NH2)2
外観 白色の固体
密度 1.32 g/cm3
融点

133–135 °C

への溶解度 107.9 g/100 ml (20 °C)
167 g/100ml (40 °C)
251 g/100 ml (60 °C)
400 g/100 ml (80 °C)
溶解度 50g/L エタノール, 500g/L グリセロール[1]
塩基解離定数 pKb 13.82[2]
構造
双極子モーメント 4.56 D
危険性
安全データシート(外部リンク) msds (アーカイブ)
半数致死量 LD50 8500 mg/kg (oral, rat)
関連する物質
関連する チオ尿素
ヒドロキシカルバミド
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

尿素(にょうそ、: urea)は、有機化合物で、生体の代謝に使われ尿中に排泄される。カルバミドともいう。無機化合物から初めて合成された有機化合物として、有機化学史上、重要な物質である。

保水作用があり皮膚に水分を保持している成分のひとつで[3]保湿剤や濃度を高くし角質融解に使われる[4]。肥料や防氷剤にも使われる。

性質

無色無臭の結晶で、哺乳類両生類の尿に多く含まれる。水に容易に溶け、その溶解度は 108 g/100 mL (20 ℃)。潮解性を持つ。非線形光学現象を示す。加熱すると分解し、アンモニアビウレットシアヌル酸に変わる。

尿素の結晶の構造には、小分子が入るのにちょうど良い大きさの空孔がある。そのため尿素は、ヘキサンなど、さまざまな化合物と安定な包接化合物を作る。過酸化水素との包接化合物(尿素-過酸化水素付加体、略称 UHP)は、固体の形で取り扱える酸化剤として市販されている。

製法

工業的にはアンモニア二酸化炭素を原料として120℃、150気圧以上で合成する[5]、あるいは液体アンモニアと固体二酸化炭素(ドライアイス)を混合して得られる。 反応機構はカルバミン酸アンモニウムを経由する。

叩くと温度が下がる瞬間冷却剤
  • フランスのAdBlueスタンド
  • 分析化学における用途

    尿素は均一沈殿法において、アンモニアまたはアンモニウムイオンの供給に用いられる。下に示すのは加熱下における尿素の加水分解である[11]

    フリードリヒ・ヴェーラーは尿素の合成法を発見した。

    尿素は、人間の手によって初めて無機化合物のみから合成された有機化合物として、有機化学の歴史上非常に重要な化合物である。 フリードリヒ・ヴェーラー1828年にその合成に成功した。彼は、シアン酸アンモニウム水溶液を加熱して尿素が生成することを確認した。この合成法はヴェーラー合成と呼ばれている。

    その当時の化学では、有機化合物は生物にしか作り出すことができないという考え(生気論)が正当とされてきたが、ヴェーラーの実験結果はそれをくつがえすもののひとつとなった(ただし、尿素は炭酸アミドに相当し、炭酸は通常有機化合物に含まれない。このため尿素を真に有機化合物と呼んでよいかは議論がある)。

    関連項目

    脚注

    1. ^ http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search/f?./temp/~ZAvqWP:1:sol [リンク切れ]
    2. ^ pKa Data” (2001年10月24日). 2010年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月27日閲覧。
    3. ^ a b Purnamawati S, Indrastuti N, Danarti R, Saefudin T (December 2017). “The Role of Moisturizers in Addressing Various Kinds of Dermatitis: A Review”. Clin Med Res (3-4): 75–87. doi:10.3121/cmr.2017.1363. PMC 5849435. PMID 29229630. http://www.clinmedres.org/content/15/3-4/75.full. 
    4. ^ a b Celleno L (November 2018). “Topical urea in skincare: A review”. Dermatol Ther (6): e12690. doi:10.1111/dth.12690. PMID 30378232. 
    5. ^ 尿素合成”. 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構. 2010年9月閲覧。
    6. ^ 井上繁「尿素合成プロセス」『化学と生物』第7巻第1号、日本農芸化学会、1969年、30-33頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.7.30ISSN 0453073X2025年3月13日閲覧 
    7. ^ にょうそ【尿素】の意味 - 国語辞書 goo辞書
    8. ^ 有馬四郎「兩棲類の發生初期の代謝終産物について I. 蛙尿の化學成分について」『動物学雑誌』第61巻第9号、日本動物学会、1952年9月、275-277頁、doi:10.34435/zm003403ISSN 00445118NAID 110003360889NDLJP:10837294 
    9. ^ 石橋賢一「大学院特論講義:水電解質研究の進歩」『明治薬科大学研究紀要 』38号、2009年05月31日、pp21-28 尿素 - J-GLOBAL
    10. ^ 村田豊, 徳井貞仁, 小宮怜, 大聖泰弘, 鈴木央一, 石井素「尿素SCRシステムのNOx浄化率向上に関する研究(第4報)」『自動車技術会論文集』第40巻第6号、自動車技術会、2009年、1515-1520頁、doi:10.11351/jsaeronbun.40.1515ISSN 0287-8321 
    11. ^ 古畑朋彦, 関直人, 新井雅隆「高温雰囲気中における尿素の熱分解挙動」『日本機械学会論文集B編』第77巻第781号、日本機械学会、2011年、1858-1867頁、doi:10.1299/kikaib.77.1858ISSN 0387-5016 
    12. ^ 滝山一善, ゴードンルイス「均一溶液からの沈殿生成に関する最近の進歩(I)」『分析化学』第10巻第3号、日本分析化学会、1961年、300-307頁、doi:10.2116/bunsekikagaku.10.300ISSN 05251931 
    13. ^ 松田恵三, 堀田健治, 藤田一美, 光沢舜明「尿素の加水分解を用いる均一沈殿法によるリン酸マグネシウム五水和物の合成」『日本化学会誌(化学と工業化学)』第1991巻第7号、日本化学会、1991年7月、968-972頁、doi:10.1246/nikkashi.1991.968ISSN 0369-4577 
    14. ^ Zoltán Tóth (1996). “A demonstration of Wöhler's experiment: Preparation of urea from ammonium chloride and potassium cyanate”. Journal of Chemical Education (ACS Publications) 73 (6): 539. doi:10.1021/ed073p539.2. https://doi.org/10.1021/ed073p539.2. 



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