インディアンに対する白人の誤解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 07:11 UTC 版)
「バージニア植民地」の記事における「インディアンに対する白人の誤解」の解説
バージニア会社の入植者がジェームズタウンに上陸した当時、バージニア植民地南東部のタイドウォーター地域には2万人近くのインディアン部族が居住していた。そしてその中心となっていたのがポウハタン族であり、周囲のアルゴンキン語族系のインディアン部族と連合国家「ポウハタン連邦」を築いていた。 ジョン・スミスら白人入植者(インディアンから見れば侵略者)たちは、このポウハタン族の有力な酋長であるポウハタン酋長を、「ポウハタン連邦すべてを支配する指導者」だと思い込んだ。 スミスらはポウハタン連邦を「帝国」、ポウハタン酋長を「皇帝」と思い込んだまま、これを大英帝国本部に報告した。このため、「インディアンの酋長は部族長である」とイギリス人たちは誤解したまま、以後の植民地侵略行為を推し進めることとなった。白人たちはまず「酋長(白人には大指導者に見えている)を屈服させればすべての部族民はこれに従う」と考え、酋長に対する懐柔、脅迫、交渉を始めた。 しかしアメリカ・インディアンの社会は基本的に合議制民主主義であり、酋長とはその合議の中での「調停者」なのであって、独任制の代表である首長ではない。ポウハタン連邦においても、すべての政治決定は「ロングハウス」という会議場で、「会議の火」を囲んで合議で決定するシステムであり、「部族長」や「指導者」による上意下達のシステムは存在しないのである。 ジェイムズタウンの入植者は当初、インディアンとの友好関係を重視したが、ジョン・スミスが指導者となると、インディアンには強腰でなければ有利な交渉ができないとの考えから、銃の威力をもって威圧しようとした。白人たちはポウハタン酋長を「王」だと勘違いしていたから、すべての要求を彼に対して行った。合議制のなかの調停者を「指導者」と思い込んだ白人たちの要求は、インディアンには理解不能なものだった。 また、インディアンの社会は「大いなる神秘」の下、森羅万象がすべてを共有する平等社会であって、土地はだれでも利用できるものであり、だれのものでもなかった。侵略者たちは酋長(部族の代表ではない)に贈り物をして、土地を彼らから譲り受けたつもりになっていたが、そもそもインディアンは「土地を恒久的に譲る」という白人の考えを理解していない。 当然、理解不能な行為を繰り返す白人入植者と、ポウハタン連邦との関係は次第に険悪な状態になった。
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