イギリスにとって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 15:52 UTC 版)
「GIUKギャップ」の記事における「イギリスにとって」の解説
GIUKギャップは、イギリス海軍にとって特に重要な問題となっている。それはバルト海や北海に面する北ヨーロッパ諸国の艦隊が大西洋への進出を試みた場合、イギリスにとって防衛の容易なイギリス海峡か、遠回りとなるアイスランドの両側のどちらかの海域を出口としなければならないからである。また、地中海に面する南ヨーロッパ諸国や黒海に面する東ヨーロッパ諸国の艦隊が同じく大西洋への進出を試みた場合は、ジブラルタル海峡を突破するか、スエズ運河と喜望峰を経由するかのどちらかを選択せねばならない。 このためヨーロッパでは、フランス、スペイン、そしてポルトガルのみが、イギリス海軍にチョークポイントにおいて容易に封鎖されずに大西洋へアクセスできるのである。 第二次世界大戦中、イギリス向け輸送船団の攻撃を企図して、北ドイツやノルウェーから大西洋に進出しようとするドイツ海軍艦船が、たびたびGIUKギャップの突破を試みた。しかし、イギリス海軍による北海とGIUKギャップの封鎖によって、この試みはほとんど成功しなかった。このため、フランスの陥落によってブレストやロリアン、ラ・ロシェル、ボルドーなどの大西洋岸地域にUボート基地を設置することが可能となったことは、ドイツにとって大きな助けとなった。なお、1940年から1942年の間、アイスランドとグリーンランドの間のデンマーク海峡は、イギリス空軍が哨戒用の爆撃機を送り込めなかった数少ない地域のうちのひとつだったため、前述の試みが成される中心的な海域だった。 「ギャップ」という言葉の起源はこの時期に求められる。当時この海域には「グリーンランド・エア・ギャップ」として知られる、航空機による輸送船団の援護が出来ず、ドイツUボートが活発に活動する海域が存在した。このギャップも1943年に至り、ショート サンダーランド飛行艇やB-24といった航続距離の長い航空機が出現し、大西洋でのドイツUボートの活動をほとんど不可能にしたことで閉じられた。
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