アンガトラマとのシノニム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 02:24 UTC 版)
「イリタトル」の記事における「アンガトラマとのシノニム」の解説
Angaturama limai は Irritator challengeri と同じ時代と場所に生息した別のスピノサウルス科恐竜で、1996年2月にブラジルの古生物学者アレクサンダー・ケルナーとディオゲンス・デ・アルメディア・カンポスにより記載された。現在ではサンパウロ大学で USP GP/2T-5 の標本番号が与えられたホロタイプ標本は、ロムアルド累層から産出して孤立した吻部の先端からなる。標本は元々翼竜化石のために開発された技術を用いて白亜紀のノジュールから取り出された。属名はブラジル先住民のトゥピ人(英語版)の守護霊 Angaturama を反映し、種小名は1991年に標本をケルナーに教えたブラジルの古生物学者ムリロ・R・デ・リマへの献名である。 1997年、イギリスの古生物学者アラン・J・カリグ(英語版)とアンジェラ・ミルナー(英語版)はアンガトラマがイリタトルのジュニアシノニムである可能性が高いと考え、両属が奥に位置する外鼻孔や長い顎、特徴的なスピノサウルス科の歯列を持つことを記した。ポール・セレノらは1998年にこの可能性に同意し、アンガトラマのホロタイプ標本がイリタトルのホロタイプ標本に揃う、即ち両者が同じ標本に属しうると意見した。エリック・ビュフェトー(英語版)とモハメド・クアジャは2002年、クリスティアーノ・ダル・サッソ(英語版)らが2015年、トル・G・バーティンが2010年、ダレン・ナイシュが2013年、マダニ・ベンユーセフらが2015年にこの結論を支持した。彼らのイリタトルの再記載で、いずれのホロタイプ標本も同程度に細く、鋸歯状でない縁を持つ横に丸みを帯びた歯を共有するとスースらは指摘した。また、彼らはアンガトラマの前上顎骨の矢状隆起はイリタトルの鼻骨に対応する可能性があると記載した。これらの主張には異議が唱えられてもいる。ケルナーとカンポスが2000年、ブラジルの古生物学者エライン・B・マカドとケルナーが2005年に、化石は2つの異なる属に由来していて Angaturama limai のホロタイプは Irritator challengeri のものより明確に側方へ平たいと意見を表明した。 ブラジルの古生物学者マルコス・A・F・セイルズとシーザー・L・シュルツによる2017年の両化石の評価では、保存という他の観点でも両標本が別物であるとされた。イリタトルの標本は明るい色で垂直に割れ目が入り、一方でアンガトラマの標本は多くの空洞がある。また、イリタトルのホロタイプの歯への損傷は遥かに少ない。さらにセイルズとシュルツは左第3上顎骨が重複すると発見したほか、近縁なバリオニクスのプロポーションに基づくとアンガトラマの頭骨はイリタトルのものよりも大型であるとも意見した。これを以て彼らは二つの標本は同じ個体に属さないと結論づけ、属レベルのシノニムの判定にはさらに広く重複した化石が必要だと記した。アンガトラマとイリタトルが同属とみなされる場合、イリタトルがほぼ1ヶ月先に命名されたため、先取権の原則によりイリタトルが有効な学名となる。
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