アニメ制作プロダクションの姿勢について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 16:16 UTC 版)
「アニパロコミックス」の記事における「アニメ制作プロダクションの姿勢について」の解説
1986年から放映が開始された『聖闘士星矢』と、その成功を受けて製作された1988年放映の『鎧伝サムライトルーパー』などに代表される、いわゆる“美少年アニメ”のブームを受けて、1980年代の末には“美少年アニメ”作品などを題材にした2次創作物である同人誌が大量に制作され、一部の作品については最大の同人誌即売会「コミックマーケット」でも単体ジャンルとして分類を受けるなど、一定のスペースを占有する程の規模で数多のサークルが手掛けるものとなった。このブームに目を付けたのが青磁ビブロスやラポートなどの中小のサブカルチャー系出版物を手がけていた出版社で、これらをまとめた同人アンソロジー本の制作を手掛け、相当数が商業出版ベースで流通・販売される状況が見られた。ここからさらに一歩進んで、同人作家による美少年アニメの2次創作の事実上の新作(同人アンソロジー集の掲載作品は作者個人の同人誌に収録されていることを建前としていたが、実際には作者のサークルの新刊同人誌の通信販売の宣伝に用いられていた)を商業ベースの出版社がまとめた、事実上の“新作アンソロジー集”までもが登場するという状況になっていった。 これらアンソロジー集について、企画した出版社は「アニパロコミックス」と同様、あくまでパロディとして独立した作品であるというスタンスを取り、ノーライセンスの同人アンソロジー集が“元ネタ”とした作品の著作権者からのライセンス許諾を得ることもないまま、一般書店の漫画本売場の一角で堂々と販売されていたのである。しかし、その内実を見ると、これら大量の作品群の大半は、男性キャラクター同士による同性愛の描写が含まれる「やおい同人誌」であり、本来は児童層を対象としたテレビアニメ作品の2次創作である事を鑑みればなおさらに、各方面から少なからず問題視される内容のものであった。 この事も要因の1つとなり、1990年代初頭からは、サンライズなど複数のアニメ制作プロダクションや、バンダイなどのキャラクター玩具・テレビゲームソフトなどのメーカーが、“パロディ”の商業作品を含む著作物の2次創作に対する姿勢を大きく改め、著作権管理を厳格化する方向に動き始めた。作品・キャラクターなど著作権の2次使用についても制限の明文化を進め、商業ベースでの無許可使用に対しても、裁判などには中々至らなかったにせよ出版社に対する警告書の送付や資料・情報の提供の中止、広告出稿の停止などの対応を逐次進めていった。 平成初頭のこの様な著作権者側の著作権管理体制の強化は、ほんの数年も経たぬ内に、「アニパロコミックス」の様なノーライセンスのパロディ作品を利用した商業出版活動や、同じくノーライセンスでの同人アンソロジー集の商業ベースでの制作を、極めて困難なものにしていった。
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