アニエス・ヴァルダ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/24 13:01 UTC 版)
| アニエス・ヴァルダ Agnès Varda |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
1962年
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 本名 | Arlette Varda (出生名) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 生年月日 | 1928年5月30日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 没年月日 | 2019年3月29日(90歳没) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 出生地 | |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 国籍 | |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 職業 | 映画監督 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 活動期間 | 1955年 - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 配偶者 | ジャック・ドゥミ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 著名な家族 | マチュー・ドゥミ(息子) ロザリー・ドゥミ(娘) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 主な作品 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 監督・脚本 『5時から7時までのクレオ』 『幸福』 『顔たち、ところどころ』 脚本 『ラストタンゴ・イン・パリ』 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アニエス・ヴァルダ(Agnès Varda, 1928年5月30日 - 2019年3月29日)は、ベルギーのブリュッセル出身の映画監督である。「ヌーヴェルヴァーグの祖母」と呼ばれることもある[1]。
来歴・人物
ベルギー生まれ。父親はギリシャ人、母親はフランス人。第二次世界大戦を逃れてフランスに渡る。映画監督になる前は写真家として活躍していた。
1965年の『幸福』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞している。1985年の『冬の旅』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞している。
映画監督のジャック・ドゥミと1962年に結婚し、彼が死去するまでともに「カイエ派」に対して「左岸派」と呼ばれた[2]。息子のマチュー・ドゥミは俳優、娘のロザリーは映画衣装デザイナーになった[3]。
2017年にはドノスティア賞を受賞した。2017年の第90回アカデミー賞で、長年の功績を称え名誉賞が授与された。
2019年3月29日、乳癌のため死去[4][5]。(フランス現地時間)
ギャラリー
-
コリンヌ・マルシャンとともに(1962年)
-
左からカトリーヌ・ドヌーヴ、ジャック・ドゥミ、ヴァルダ(1966年)
-
1965年に監督した『幸福』
-
カルティエ現代美術財団美術館の庭にあるアニエス・ヴァルダの飼い猫「木の上のニニ」の像、隣はインスタレーション作品「猫の家」
監督作品
- ラ・ポワント・クールト La Pointe Courte (1955年) - 長編デビュー作、編集アラン・レネ
- おお季節よ、おお城よ(1957年)
- コートダジュールの方へ Du côté de la côte (1958年) - 短編
- 『オペラ・ムッフ』 原題:L'Opera-Mouffe 1958年/フランス/モノクロ/スタンダードサイズ/フランス語
- マクドナルド橋のフィアンセ Les fiancés du pont Mac Donald ou Méfiez-vous des lunettes noires (1961年)
- 5時から7時までのクレオ Cléo de 5 à 7 (1961年)
- 幸福 Le Bonheur (1965年)
- 創造物 Les créatures (1966年)
- ベトナムから遠く離れて Loin du Vietnam (1967年) - 共作
- ブラックパンサーズ Black Panthers (1968年) - 短編
- イランでの愛の悦び Plaisir d'amour en Iran (1976年)
- 歌う女・歌わない女 L'Une chante, l'autre pas (1977年)
- 壁画・壁画たち Murs, murs (1981年)
- ドキュモントゥール Documenteur (1981年)
- 冬の旅 Sans toit ni loi (1985年)
- カンフー・マスター! Kung-Fu master (1987年)
- アニエスv.によるジェーンb. Jane B. par Agnès V. (1987年)
- ジャック・ドゥミの少年期 Jacquot de Nantes (1991年)
- Les demoiselles ont eu 25 ans (1993年)
- 百一夜 Les Cent et une nuits de Simon Cinéma (1995年)
- 落穂拾い Les Glaneurs et la glaneuse (2000年)
- 落穂拾い・二年後 Les Glaneurs et la glaneuse... deux ans après (2002年)
- Quelques veuves de Noirmoutier (2005年)
- アニエスの浜辺 Les Plages d'Agnès (2008年)
- 顔たち、ところどころ Visages, Villages (2017年)
※「★」の有るものは遺作『アニエスによるヴァルダ』(原題:VARDA PAR AGNÈS)で取り上げられた映画。
長編
| ※ | 年 | 邦題 | 原題 |
|---|---|---|---|
| ★ | 1954 | 『ラ・ポワント・クールト』 | LA POINTE COURTE |
| ★ | 1961 | 『5時から7時までのクレオ』 | CLÉO DE 5 à 7 |
| ★ | 1964 | 『幸福』 | LE BONHEUR |
| 1966 | 「創造物たち」 | LES CRÉATURES | |
| 1967 | 「ベトナムから遠く離れて」 (オムニバスドキュメンタリー) | LOIN DU VIETNAM | |
| ★ | 1969 | 「ライオンズ・ラブ」 | LIONS LOVE (… AND LIES) |
| 1970 | 「ナウシカ」 | NAUSICAA | |
| ★ | 1975 | 『ダゲール街の人々』(ドキュメンタリー) | DAGUERRÉOTYPES |
| ★ | 1976 | 『歌う女・歌わない女』 | L'UNE CHANTE, L’AUTRE PAS |
| ★ | 1980 | 「壁画、壁画たち」 (ドキュメンタリー) | MUR, MURS |
| ★ | 1981 | 「ドキュマントゥール」 | DOCUMENTEUR |
| ★ | 1985 | 『冬の旅』 | SANS TOIT NI LOI |
| ★ | 1987 | 『アニエスv.によるジェーンb.』 | JANE B. PAR AGNÈS V. |
| ★ | 1987 | 『カンフー・マスター!』 | KUNG-FU-MASTER ! |
| ★ | 1990 | 『ジャック・ドゥミの少年期』 | JACQUOT DE NANTES |
| 1992 | 「25年目のロシュフォールの恋人たち」 (ドキュメンタリー) | LES DEMOISELLES ONT EU 25 ANS | |
| 1993 | 「ジャック・ドゥミの世界」 (ドキュメンタリー) | L’UNIVERS DE JACQUES DEMY | |
| ★ | 1994 | 『百一夜』 | LES CENT ET UNE NUITS |
| ★ | 2000 | 『落穂拾い』 (ドキュメンタリー) | LES GLANEURS ET LA GLANEUSE |
| 2002 | 『落穂拾い・二年後』 (ドキュメンタリー) | LES GLANEURS ET LA GLANEUSE... DEUX ANS APRÈS | |
| ★ | 2006 | 「ノワールムーティエの夫を失った妻たち」 (ドキュメンタリー) (インスタレーション作品を編集したもの) |
|
| ★ | 2008 | 『アニエスの浜辺』 | LES PLAGES D'AGNÈS |
| ★ | 2010 | 「アニエス・ヴァルダのあちこち」 (ドキュメンタリー) | AGNÈS DE CI DE LÀ VARDA |
| ★ | 2017 | 『顔たち、ところどころ』 (フランス人アーティストJRとの共同監督作) | VISAGES VILLAGES |
| 2019 | 『アニエスによるヴァルダ』 | VARDA PAR AGNÈS |
短編
| 1957 | 「おお季節よ、おお城よ」Ô SAISONS Ô CHÂTEAUX | |
| ★ | 1958 | 「オペラ・ムッフ」L'OPÉRA-MOUFFE |
| 1958 | 「コート・ダジュールの方へ」DU CÔTÉ DE LA CÔTE | |
| 1961 | 「マクドナルド橋の恋人たち」LES FIANCÉS DU PONT MACDONALD | |
| 1963 | 「キューバのみなさん、こんにちは」SALUT LES CUBAINS | |
| 1965 | 「バラのエルザ」ELSA LA ROSE | |
| ★ | 1967 | 「ヤンコおじさん」UNCLE YANCO |
| ★ | 1968 | 「ブラック・パンサー」BLACK PANTHERS |
| 1975 | 「女性たちの返事」RÉPONSE DE FEMMES: NOTRE CORPS, NOTRE SEXE | |
| 1976 | 「イランでの愛の悦び」PLAISIR D’AMOUR EN IRAN | |
| 1982 | 「ユリシーズ」ULYSSE | |
| 1982 | 「一枚の写真のための一分間」UNE MINUTE POUR UNE IMAGE | |
| 1984 | 「女性柱」LES DITES CARIATIDES | |
| 1984 | 「7DK・バス付き」7 P., CUIS., S. DE B. | |
| 1986 | 「君の階段は美しい」T'AS DE BEAUX ESCALIERS, TU SAIS | |
| 2003 | 「ライオンの消滅」LE LION VOLATIL | |
| 2004 | 「イデッサとクマたち」YDESSA, LES OURS ET ETC. | |
| 2015 | 「3つのボタン」LES 3 BOUTONS |
受賞歴
| 賞 | 年 | 部門 | 作品 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| フランス映画批評家協会賞 | 1962年 | 作品賞 | 『5時から7時までのクレオ』 | 受賞 |
| 1985年 | 作品賞 | 『冬の旅』 | 受賞 | |
| 2000年 | 作品賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 | |
| 2008年 | 作品賞 | 『アニエスの浜辺』 | 受賞 | |
| ルイ・デリュック賞 | 1964年 | - | 『幸福』 | 受賞 |
| ベルリン国際映画祭 | 1965年 | 審査員グランプリ | 『幸福』 | 受賞 |
| インターフィルム賞 | 受賞 | |||
| 2019年 | ベルリナーレ・カメラ | - | 受賞 | |
| セザール賞 | 1977年 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 『Réponses de femmes』 | ノミネート |
| 1983年 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 『Ulysse』 | 受賞 | |
| 1986年 | 作品賞 | 『冬の旅』 | ノミネート | |
| 監督賞 | ノミネート | |||
| 2001年 | 名誉賞 | - | 受賞 | |
| 2009年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『アニエスの浜辺』 | 受賞 | |
| 2018年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | ノミネート | |
| ヴェネツィア国際映画祭 | 1985年 | 金獅子賞 | 『冬の旅』 | 受賞 |
| 国際映画批評家連盟賞 | 受賞 | |||
| 2008年 | 監督・ばんざい!賞 | 『アニエスの浜辺』 | 受賞 | |
| ニューヨーク映画批評家協会賞 | 1986年 | 外国語映画賞 | 『冬の旅』 | 3位 |
| 2001年 | ノンフィクション映画賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 | |
| 2017年 | ノンフィクション映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 | |
| ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 1986年 | 外国語映画賞 | 『冬の旅』 | 受賞 |
| 2001年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 | |
| 2009年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『アニエスの浜辺』 | 受賞 | |
| 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 | |
| ヨーロッパ映画賞 | 2000年 | ドキュメンタリー賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 |
| 2009年 | ドキュメンタリー賞 | 『アニエスの浜辺』 | ノミネート | |
| 2014年 | 生涯貢献賞 | - | 受賞 | |
| 全米映画批評家協会賞 | 2001年 | ノンフィクション作品賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 |
| 2009年 | ノンフィクション作品賞 | 『アニエスの浜辺』 | 受賞 | |
| 2017年 | 外国語映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 2位 | |
| ノンフィクション作品賞 | 受賞 | |||
| ボストン映画批評家協会賞 | 2001年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 |
| ニューヨーク映画批評家オンライン賞 | 2001年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『落穂拾い』 | 受賞 |
| ルネ・クレール賞 | 2002年 | - | - | 受賞 |
| 全米監督協会賞 | 2009年 | ドキュメンタリー映画監督賞 | 『アニエスの浜辺』 | ノミネート |
| カンヌ国際映画祭 | 2010年 | 金の馬車賞 | - | 受賞 |
| 2015年 | パルム・ドール・ドヌール | - | 受賞 | |
| 2017年 | ルイユ・ドール | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 | |
| 国際フィルム・アーカイヴ連盟 | 2013年 | FIAF賞 | - | 受賞 |
| ロカルノ国際映画祭 | 2014年 | 名誉豹賞 | - | 受賞 |
| アカデミー賞 | 2017年 | 長編ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | ノミネート |
| 名誉賞 | - | 受賞 | ||
| サン・セバスティアン国際映画祭 | 2017年 | ドノスティア賞 | - | 受賞 |
| トロント国際映画祭 | 2017年 | 観客賞 (ドキュメンタリー部門) | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 |
| バンクーバー国際映画祭 | 2017年 | 観客賞 (ドキュメンタリー部門) | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 |
| オンライン映画批評家協会賞 | 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 |
| サンフランシスコ映画批評家協会賞 | 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 |
| インディペンデント・スピリット賞 | 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 |
| リュミエール賞 | 2018年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | 受賞 |
主な日本語文献
- 『アニエス・ヴァルダによるジェラール・フィリップ』キネマ旬報社、1998年
- 『アニエス・ヴァルダ 愛と記憶のシネアスト』金子遊・若林良・吉田悠樹彦編、neoneo編集室「ドキュメンタリー叢書」、2021
年
脚注
- ^ 英語版Wikipedia en:Agnès Varda および独語版Wikipedia de:Agnès Varda 参照。仏語版にはない。
- ^ 中条省平『フランス映画史の誘惑』(集英社新書 2003年pp.195-199)。
- ^ 金子遊 若林良 吉田悠樹彦編,『アニエス・ヴァルダ 愛と記憶のシネアスト』,neoneo叢書, 2021
- ^ 仏監督アニエス・ヴァルダが90歳で死去、“ヌーベルヴァーグの祖母”の異名 映画ナタリー、2019年3月29日
- ^ “仏映画監督のアニエス・バルダさん死去、90歳”. 時事ドットコム. (2019年3月29日) 2019年3月31日閲覧。
外部リンク
固有名詞の分類
- アニエス・ヴァルダのページへのリンク