アスペリティー‐モデル【asperity model】
読み方:あすぺりてぃーもでる
プレート境界地震の発生モデルの一つ。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際、通常は強く固着しているアスペリティーが、剝がれて滑るときに地震が発生するというモデル。従来は境界面に多数存在するアスペリティーがそれぞれにすべることで類似した地震が繰り返されると考えられていたが、平成23年(2011)3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震のようなマグニチュード9クラスの巨大地震の発生を説明することができなかった。そこで、巨大なアスペリティーの存在を仮定し、小さなアスペリティーによる地震が起こることで次第に巨大アスペリティーにエネルギーが蓄えられ、やがて巨大地震が引き起こされるというモデルが提案されている。
アスペリティモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 04:31 UTC 版)
T.レイおよび金森博雄 (1982) らは、プレート間には固着が強いアスペリティと滑らかに滑っている部分が存在し、アスペリティの空間的分布や面積比によって地震の起こり方に特徴があると考え、世界各地の沈み込み帯を4つのカテゴリに分類した。超巨大地震はカテゴリ1の沈み込み帯で起こり、これに属すのはチリ南部、カムチャツカ、アラスカとされた。 カテゴリ1:チリ南部 沈み込み帯は全面的にアスペリティを形成しプレート間は強く固着している。 常に500 kmを越えるほぼ同じ長さの断層破壊が、規則正しい時間間隔で発生する傾向がある。 カテゴリ2:アリューシャン 各セグメント毎に大きなアスペリティが存在する。 カテゴリ1よりやや小さい断層破壊となり、それぞれのセグメントが別々に断層破壊する場合と、海溝全体が連動して断層破壊する場合がある。 カテゴリ3:千島列島 各セグメントに複数の小さなアスペリティが存在する。 セグメント毎にいつも同じ部分が断層破壊して地震を発生させるが、それらが連動して破壊することは稀である。 カテゴリ4:マリアナ アスペリティを形成せず、プレート間は殆ど固着していない。 非地震性の滑りの割合が多く、巨大地震を発生することはない。 比較沈み込み学では古いプレートでは連動型地震は起こりにくいとされ、アスペリティモデルも沈み込みがやや高角の古いプレートは固着領域が小さく連動型の超巨大地震は起こりにくいとされてきた。しかし2004年スマトラ沖地震はこの法則には当てはまらないとされ、2011年東北地方太平洋沖地震の発生した日本海溝もアスペリティモデルではカテゴリ3の千島列島に類似すると考えられ連動型の巨大地震が起りにくいとされていた。
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