本州の北部から四国、九州を経て屋久島にまで分布します。クロマツは、一般に海辺に近い処で見られ、海岸の防風林として広く造林され、アカマツは、一般的にいえば、海辺から離れた地域に見られます。また、両者の間の雑種もあり、アイグロマツと呼ばれます。これらの木材の性質は、極端な例を除けば、ほとんど同じと考えられます。 ■木材 アカマツとクロマツは、マツ類のうちでも重硬で、気乾比重は、0.42~0.52(平均値)~0.62です。心材の色は、やや黄色を帯びた淡桃色からかなり赤褐色を帯びたものまであり、辺材は黄白色です。春から夏にかけて、つくられた細胞の形が大きく違っているため、年輪ははっきりし、木材の肌目は粗です。細胞間道(樹脂道)をもっているため、材面に“やに”がにじみ出てくることが多く、木材を使うときには注意しなければなりません。未乾燥材は、青変菌によって、青ないし黒色に変色することが多いので、伐採後早く乾燥することが必要です。水中に完全に入っている時は耐久性があり、かつては杭用材に大量に用いられたものです。一般に木材の形が良くなかったり、変色したりするので、どちらかといえば、表面に出ない構造用に用いられます。 ■用途 建築(主として、軸組、敷居、床板)、坑木、枕木、経木、木毛、薪、パルプ材などが知られています。 かつて、パルプ用材として、エゾマツやトドマツなどが多く用いられていましたが、当時大量にあったマツ類をパルプ用材として使うために技術開発が熱心にすすめられた結果、この類の木材は本州などマツ類の多い地域で重要な原料になりました。 |