わいせつ物頒布罪による規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 06:02 UTC 版)
「成人向け漫画」の記事における「わいせつ物頒布罪による規制」の解説
詳細は「わいせつ物頒布等の罪」を参照 わいせつ物頒布罪(刑法175条)は、判例上では性的秩序・性道徳の維持を目的として、わいせつな文書・図画等の頒布を禁止するものである(最高裁判所大法廷判決昭和32年3月13日刑集11巻3号997頁(チャタレー事件))。ゾーニングマークを付けて成人向けに販売されている漫画においても性器描写に修正がかけられているのは、わいせつ物頒布罪を受けての出版社の自主規制である。 判例によると、「わいせつ」の基準は「その時代の健全な社会通念に照らして、徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされている(最高裁第二小法廷判決昭和55年11月28日刑集34巻6号433頁(四畳半襖の下張事件))。このように曖昧な基準であるために、過去には18禁漫画(書籍)の発行元が、業界で標準的な局部修正を施していたにも関わらず、わいせつ物頒布容疑で逮捕される事件(松文館裁判等)が発生している。この事件は、さらなる出版物規制に繋がりかねず、業界全体に与える影響は多大であるということで話題となった。また、逮捕までに至らなくても、官公庁から作家個人に警告をする例もある。 摘発の基準は上述のとおり時代によって変わりうるものであるため、過去に発売された漫画が性器描写の修正を薄めて再版されたり、逆に規制が強化されたりする場合がある。この刑法175条については、現状にそぐわない不合理な規制であるから廃止すべきといった批判もあり、参議院議員の山田太郎が刑法175条の見直しを政策課題として掲げている。
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