はじめの3分間
理論によって解明されつつある宇宙誕生のナゾ
宇宙の誕生や進化、しくみなどを研究する宇宙論は、アルバート・アインシュタインの一般相対性理論(いっぱんそうたいせいりろん)をもとに進められてきましたが、宇宙の誕生の瞬間にせまればせまるほど、一般相対性理論では説明のつかないことが多くなってきました。それは誕生直後の宇宙が、超高温・超高密度から大膨張(だいぼうちょう)をはじめた状態であり、そのときに存在したと考えられる極小(ごくしょう)物質のふるまいを解明しなければならなかったからです。そのための研究が、素粒子物理学であり、量子力学です。
現在の宇宙は、3:7のヘリウムと水素で構成される
現在の宇宙は、およそ3:7の比率のヘリウムと水素で構成されています。銀河の星々のおおもとは、このヘリウムと水素のガスだったわけですが、さらにこれらヘリウムや水素のもとをたどると、原子→陽子・中性子→電子、クォークというふうに分割されていきます。このように、宇宙を構成する物質を極限までつきつめていけば、宇宙がどんな状態からいかに誕生したかが、かなりの正確さでわかることになります。
「はじめの3分間」で宇宙の基礎ができあがった
アメリカの素粒子物理学者スティーブ・ワインバーグは、誕生の1/100秒後からの宇宙のようすを理論的に組み立て、研究者以外の人のために『宇宙創成はじめの3分間』という著書をあらわしました。それによれば、誕生の1/100秒後の宇宙は、超高温(絶対温度で1,000億℃)・超高密度で、大量の光子(フォトン)、ニュートリノ、電子の中に、少数の陽子や中性子が混沌(こんとん)としている状態でした。3分46秒たつと温度が9億℃まで下がり、ヘリウムや水素の原子核の結合が安定してきます。このあと、長い時間をかけて宇宙が冷えていき、銀河のもとになるガスができてくるのです。
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